「ARMってよく聞くけど何のこと?」「スマートフォンにARMが使われているって聞いたが、詳しく知りたい」「Apple MシリーズもARMなの?」――こうした疑問を持つ方は多いです。
ARM(アーム)は低消費電力に強いCPUアーキテクチャで、スマートフォン・タブレット・IoT機器など現代のほぼあらゆるモバイルデバイスに使われている技術です。最近ではApple Mシリーズのようにパソコンにも採用が広がっています。
この記事では、ARMの基本的な意味・歴史・CPUやSoCとの関係・スマートフォンで使われる理由・メリットとデメリット・よく使われる製品まで、初心者でもわかりやすく解説します。
ARMとは
低消費電力に強いCPUアーキテクチャ
ARM(アーム)とは、低消費電力を重視して設計されたCPUアーキテクチャ(CPUの設計思想・命令セットの仕組み)です。少ない電力で処理を行える特性から、バッテリーで動くモバイル機器に特に向いています。
スマートフォンやタブレットで広く使われている技術
iPhoneやAndroidスマートフォン・iPad・各種タブレット端末など、現代のモバイルデバイスのほぼすべてにARMベースのチップが搭載されています。スマートフォンの普及とともに、ARMは世界で最も広く使われるCPUアーキテクチャの一つになりました。
パソコン向けCPUとは異なる特徴を持つ
IntelやAMDが主力とするパソコン向けのx86アーキテクチャとは異なる設計思想を持ちます。x86が高い処理性能を追求するのに対し、ARMは省電力と小型化を重視した設計が基本です。
現代のデジタル機器を支える重要な仕組み
スマートフォン・タブレットだけでなく、スマートウォッチ・IoT機器・車載コンピュータ・一部のノートパソコンまで、幅広い分野でARMが採用されており、現代のデジタル社会を根底から支える技術です。
ARMが注目されている理由
消費電力を抑えやすい
ARMの最大の強みは少ない電力で処理を行える省電力性です。バッテリーで動くモバイル機器において、消費電力を抑えることは利便性に直結します。
小型機器に搭載しやすい
ARMアーキテクチャは省電力設計のため発熱が少なく、大型の冷却装置(ファンやヒートシンク)がなくても動作させやすいです。スマートウォッチほどの小さな筐体にも搭載できます。
スマートフォンやタブレットとの相性がよい
バッテリー持ち・薄型軽量・発熱抑制のすべてがモバイル端末の要件と一致しており、スマートフォン・タブレット向けSoC(System on a Chip)の中核技術として定着しています。
IoT機器や車載コンピュータにも使われている
家電・センサー・産業機器などIoTデバイス・自動車の制御システムなど、常時稼働が求められながらも電力供給に制約がある機器にもARMが採用されています。
Apple Mシリーズなどパソコン分野でも採用が広がっている
2020年以降、AppleがMacにARMベースの独自チップ(Mシリーズ)を採用したことで、パソコン分野でもARMの存在感が急速に高まっています。省電力と高性能の両立が評価されています。
ARMの歴史
英国のAcorn Computersによる開発
ARMの起源は1980年代の英国にあります。Acorn Computers(エイコーン・コンピューターズ)が自社製パソコン向けに独自のプロセッサ設計を始めたことが出発点です。1985年に最初のARM(Acorn RISC Machine)プロセッサが開発されました。
Advanced RISC Machinesの設立
1990年にAcornとApple・VLSIテクノロジーが合弁で「Advanced RISC Machines」(ARM)社を設立しました。Apple Newton(携帯情報端末)向けのプロセッサ開発が主要な目的の一つでした。
ARM Limitedとしての展開
ARM社はCPUそのものを製造せず、アーキテクチャの設計をライセンス提供するビジネスモデルを確立しました。このモデルにより多くのメーカーがARMをベースにした独自チップを開発できるようになりました。
スマートフォン普及によるシェア拡大
2007年以降のスマートフォン市場の爆発的な拡大に伴い、ARMベースのSoCが事実上のモバイル標準となりました。現在ではスマートフォン向けSoCにおけるARMのシェアは圧倒的です。
ソフトバンクグループによる買収で注目された背景
2016年にソフトバンクグループがARM Limitedを約3.3兆円で買収したことで、ARMの戦略的重要性が改めて広く認識されました。その後NVIDIAへの売却計画が浮上しましたが実現せず、2023年にArmがNASDAQに上場しました(※確認が必要:最新状況は公式情報でご確認ください)。
ARMとCPUの関係
CPUとはパソコンやスマホの処理を担う部品
CPU(中央処理装置)はコンピューターの「頭脳」に相当するパーツで、計算・制御・データ処理を担います。パソコンやスマートフォンのあらゆる動作はCPUが中心となって処理しています。
ARMはCPUそのものではなく設計思想やアーキテクチャを指す場合がある
厳密には「ARM」という名前のCPUが存在するのではなく、ARMが提供するのはCPUの設計図(アーキテクチャ・命令セット)です。各メーカーがこの設計をもとに自社のCPUを製造します。ただし日常的に「ARMチップ」「ARM系CPU」という表現で製品そのものを指すこともあります。
ARMベースのCPUが多くの端末に搭載されている
QualcommのSnapdragon・AppleのAシリーズ・MediaTekのDimensityなど、スマートフォンに搭載される主要なSoCはすべてARMアーキテクチャをベースにしています。
メーカーごとにARMをもとにした独自チップが作られている
ARMのライセンスを取得した各メーカーは、ARMの基本設計に独自の機能・最適化・専用回路を組み合わせた独自チップを開発しています。そのためAppleのAシリーズとQualcommのSnapdragonは同じARMベースでも性能・機能に差があります。
ARMアーキテクチャとは
CPUの論理的な構造を示すもの
アーキテクチャとはCPUがどのように命令を受け取り処理するかの論理的な仕組みです。異なるアーキテクチャのCPUは同じプログラムを直接実行できない場合があります。
命令セットや設計の基本となる仕組み
ARMアーキテクチャはRISC(縮小命令セットコンピュータ)の考え方を基本とします。シンプルな命令を高効率で実行することで、複雑な命令を多用するx86系より消費電力を抑えやすい設計です。
低消費電力・小型化に向いた設計
RISCベースのシンプルな命令構造により、回路規模を小さく保ちやすく、消費電力と発熱を抑えることができます。
代表的なARMアーキテクチャ
Cortex-A
「Application」を意味し、スマートフォン・タブレット・PCなど高性能が求められるアプリケーション処理向けのコア群です。高いパフォーマンスと省電力のバランスが取れています。
Cortex-R
「Real-time」を意味し、車載システム・工業用機器・医療機器などリアルタイムで確実に応答が必要なシステム向けのコア群です。
Cortex-M
「Microcontroller」を意味し、IoTセンサー・家電・組み込み機器などの超小型・超低消費電力の用途向けのコア群です。電池で長期間動作する機器に適しています。
互換性は主にCPUコア部分に限られる点に注意する
ARMアーキテクチャで設計されたソフトウェアは原則としてARMベースのCPUで動作しますが、SoC全体の設計はメーカーごとに異なるため、すべての機能が完全互換というわけではありません。
ARMとSoCの関係
SoCとはSystem on a Chipの略
SoC(システム・オン・チップ)とは、CPU・GPU・通信モジュール・メモリコントローラー・画像処理エンジンなど、複数の機能をひとつの半導体チップに統合したものです。
CPUやGPUなど複数機能をひとつのチップにまとめたもの
従来のパソコンではCPU・GPU・メモリなどが個別のパーツとして存在しましたが、SoCではこれらを1チップに集約します。部品点数の削減・小型化・省電力化を実現できます。
スマートフォンではARMベースのSoCが多く使われる
AppleのAシリーズ(iPhone向け)・QualcommのSnapdragon・SamsungのExynos・MediaTekのDimensityなど、主要なスマートフォン向けSoCはすべてARMアーキテクチャのCPUコアを採用しています。
小型化と省電力化を実現しやすい
複数のチップを個別に搭載する場合に比べ、SoCは基板面積を大幅に削減でき、チップ間の通信距離が短くなることで消費電力も抑えられます。
モバイル端末に必要な機能をまとめて搭載できる
スマートフォンに必要なCPU処理・グラフィック描画・カメラ処理・モバイル通信(5G・LTE)・Wi-Fi・Bluetoothなどをひとつのチップに収めることができます。
ARMがスマートフォンに使われる理由
バッテリー消費を抑えやすい
スマートフォンは限られたバッテリー容量で長時間動作する必要があります。ARMの省電力設計はこの要件に最も適しています。
本体を薄く小さくしやすい
ARMベースのSoCは回路規模が小さく、基板上で占有するスペースが少ないため、薄型スリムなスマートフォンデザインを実現しやすいです。
発熱を抑えやすい
消費電力が少ないため発熱量も抑えられます。金属製のヒートシンクや冷却ファンを搭載しなくても動作温度を維持しやすく、快適な手持ちデバイスの実現に貢献しています。
通信・グラフィック・センサー処理をSoCでまとめやすい
ARMのCPUコアを中心にGPU・モデム・画像処理エンジン・AI処理エンジンをひとつのSoCに統合できるため、スマートフォンに必要な多機能を実現できます。
iPhoneやAndroidスマートフォンで広く採用されている
AppleのAシリーズ・QualcommのSnapdragonシリーズ・MediaTek・Samsung Exynos等、市場に出回るほぼすべてのスマートフォン向けSoCがARMベースです。
ドスパラのARM解説ページでも、ARMの特徴とスマートフォンへの活用が詳しく解説されています。
ARMがタブレットやモバイル機器に向いている理由
軽量端末でも長時間駆動しやすい
iPadやAndroidタブレットなど薄型軽量の端末でも、ARMの省電力性により数時間〜十数時間のバッテリー駆動が可能になっています。
ファンレス設計にしやすい
ARMベースのSoCは発熱が少ないため、冷却ファンを搭載しないファンレス設計が可能です。動作音がなく薄型化もしやすいモバイル機器向けの大きな利点です。
持ち運び端末との相性がよい
省電力・小型・ファンレスの組み合わせにより、スマートフォン・タブレット・モバイルルーター・スマートウォッチなど持ち運んで使う機器のほぼすべてに適した特性を持ちます。
アプリ利用やWeb閲覧に十分な性能を発揮しやすい
日常的なアプリ使用・Web閲覧・動画視聴・軽いゲームといった一般的な用途では、最新のARMベースSoCは十分以上の処理性能を発揮します。
ARMとパソコン向けCPUの違い
消費電力の考え方が異なる
パソコン向けのIntel・AMDのx86 CPUは高い処理性能を優先する設計で、消費電力はARMと比べて高くなります。ARMは省電力を最優先した設計です。
性能重視か省電力重視かの違い
ピーク性能を重視するデスクトップPC・ゲーミングPC用途にはx86が強みを発揮します。一方でモバイル機器・長時間バッテリー駆動・薄型端末にはARMが向いています。Apple Mシリーズのように省電力と高性能を両立する高性能ARMも登場しています。
| 比較項目 | ARM | x86(Intel/AMD) |
|---|---|---|
| 消費電力 | ◎ 低い | △ 高め |
| 発熱 | ◎ 少ない | △ 多め |
| 小型化 | ◎ しやすい | △ 難しい |
| 高負荷処理性能 | ○ 向上中 | ◎ 優れている |
| 主な用途 | スマホ・タブレット・IoT | デスクトップPC・サーバー |
対応ソフトウェアやOSに違いがある
x86向けに開発されたWindowsアプリはARMでそのまま動作しない場合があります。ARMに対応したOSやアプリが必要です。
従来のPC向けCPUとの互換性に注意が必要
ARMベースのWindowsPCではx86専用ソフトが動作しない場合があります。エミュレーション機能で一部対応できますが、性能低下が生じることがあります。
用途に応じて得意分野が異なる
省電力・モバイル・小型化ならARM、高い処理性能・豊富なソフトウェア互換性ならx86という使い分けが基本的な考え方です。
ARMのメリット
低消費電力で動作しやすい
ARMの最大の強みです。少ない電力で多くの処理をこなせるため、バッテリー駆動の機器との相性が抜群です。
小型デバイスに搭載しやすい
回路規模を小さく設計できるため、ウェアラブル・スマートフォン・IoTセンサーなど極めて小さな筐体にも組み込みやすいです。
発熱を抑えやすい
消費電力が低いと発熱も少なくなります。ファンなしで安全に動作できるため、密閉された小型機器にも搭載しやすいです。
バッテリー持ちを伸ばしやすい
スマートフォン・タブレット・スマートウォッチなどバッテリー駆動の端末において、ARMの省電力性は使用時間の延長に直結します。
メーカーが独自SoCを開発しやすい
ARMのライセンスモデルにより、各メーカーはCPUコアを1から設計せずに済み、独自のSoC開発に集中できます。
多様な機器へ展開しやすい
スマートフォンからIoTセンサー・車載システム・ノートPCまで、Cortex-A・R・Mの各シリーズで異なる用途に対応できます。
ARMのデメリット・注意点
高負荷処理では構成によって性能差が出やすい
複雑な演算・大規模データ処理など高負荷処理においては、高性能x86 CPUと比較して性能差が出る場合があります。ただしApple Mシリーズなど高性能ARMの登場で差は縮まっています。
従来のPC向けソフトがそのまま動かない場合がある
x86向けに開発されたWindowsアプリ・一部の業務ソフト・専門ツールはARMで直接動作しません。
ARM対応OSやアプリの確認が必要
ARMベースのPCやデバイスを使用する場合は、使いたいOSやソフトウェアがARM対応かどうかを事前に確認する必要があります。
CPUコア以外の周辺機能までは完全互換とは限らない
ARMアーキテクチャで統一されているのは主にCPUコアの命令セット部分です。SoC全体の設計はメーカーごとに異なるため、ドライバーや周辺機能の互換性が完全ではない場合があります。
メーカーごとの設計差を理解する必要がある
同じARMベースでもQualcommとAppleとMediaTekでは性能・機能・消費電力特性が大きく異なります。「ARMベース」という情報だけで性能を判断するのは難しいです。
ARMのライセンス形態
ARM Limitedがアーキテクチャを提供している
Armはアーキテクチャの設計(IPコア・命令セット・設計図)を提供する企業です。自社では半導体を製造せず、設計の権利(ライセンス)を販売するビジネスモデルを採用しています。
各メーカーがライセンス契約を結んで利用する
Apple・Qualcomm・Samsung・MediaTek・Googleなど多くのメーカーがArmとライセンス契約を結び、ARMアーキテクチャをベースにした独自チップを設計・製造しています。
CPUを一から設計せずに製品開発しやすい
ARMのライセンスモデルにより、各メーカーはCPUコアの基本設計を1から行う必要がなく、独自機能の追加や最適化に注力できます。開発コストと期間の削減につながります。
独自機能を組み合わせたSoCを作りやすい
ARMのCPUコアを土台に、GPU・通信モジュール・AIプロセッサ・カメラ処理エンジンなど各メーカー独自の機能を組み合わせたSoCを柔軟に開発できます。
Arm Flexible Accessとは
商品化や生産段階に応じて利用しやすいライセンス形態
Arm Flexible Accessは、設計段階から量産段階にかけて段階的に費用が発生するライセンス形態です。製品が実際に市場に出るまでの期間はコストを抑えながら開発できる仕組みです。
IoT機器開発を後押ししやすい仕組み
スタートアップや中小企業がIoT向けのARMベースチップを開発しやすい環境を提供し、ARMエコシステムのさらなる拡大を後押しする狙いがあります。
ARMが使われている主な製品
スマートフォン
iPhone・Androidスマートフォン、ほぼすべての現行スマートフォンにARMベースのSoCが搭載されています。
タブレット
iPad・各種AndroidタブレットにARMベースのSoCが使われています。AppleのiPadはM1・M2など高性能ARMチップを採用しています。
スマートウォッチ
Apple Watch・Samsung Galaxy WatchなどのスマートウォッチにもARMのCortex-Mなど低消費電力コアが使われています。
IoT機器
スマートスピーカー・スマートホームデバイス・センサー類・Raspberry Piなどの教育・開発用ボードにも広くARMが採用されています。
車載コンピュータ
自動車の制御システム・カーナビ・運転支援システム・EVのパワートレイン制御など、自動車分野でもARMが広く使われています。
一部のノートパソコン
Apple Mシリーズ搭載MacBook・QualcommのSnapdragon搭載Windowsパソコン(Copilot+PCなど)など、ノートPCへの採用も広がっています。
組み込み機器
産業用機器・医療機器・家電製品のマイコン・プリンターなど、様々な組み込みシステムにARMが採用されています。
ARMとApple Mシリーズの関係
Apple MシリーズはARMベースのチップ
Appleが2020年から投入したMシリーズ(M1・M2・M3・M4)はARMアーキテクチャをベースに、Appleが独自設計したSoCです。iPhoneやiPadで培った設計技術をMacに応用したものです。
MacにもARM系チップが採用されている
MacBook Air・MacBook Pro・Mac mini・Mac Studio・Mac ProにMシリーズが採用されています。これによりMacはIntel x86アーキテクチャから完全にARMベースへ移行しました。
省電力と高性能の両立が注目されている
Mシリーズは従来のIntel搭載Macと比べてバッテリー持ちが大幅に改善しながら、多くの処理でIntelを上回る性能を発揮するとして高く評価されています。
パソコン分野でもARMの存在感が高まっている
AppleのM1登場以降、ARMがパソコン用途でも十分以上の性能を発揮できることが広く認識され、他メーカー・他OSでもARMベースPCへの注目が高まっています。
従来のIntel系Macとの違いを理解する必要がある
Apple Silicon(Mシリーズ)のMacは、Intel Macで動作していたx86向けソフトの一部がそのままでは動作しません。RosettaというエミュレーターやARMネイティブ対応アプリへの移行が必要な場合があります。
ARMがIoTや自動車分野で使われる理由
小型機器に組み込みやすい
Cortex-Mシリーズは極めて小さな回路規模で実装できるため、センサー・家電の制御チップ・ウェアラブル機器など極小の機器に組み込みやすいです。
省電力で常時稼働に向いている
IoT機器は多くの場合、電池で長期間稼働したり低消費電力で24時間動作したりすることが求められます。ARMの省電力性はこの要件に最適です。
センサーや通信機能と組み合わせやすい
ARMアーキテクチャはセンサー・通信モジュール・アナログ回路などと組み合わせた総合的なシステム設計がしやすく、IoTの「センシング→処理→通信」という流れに適しています。
車載コンピュータでも活用が進んでいる
自動車のECU(電子制御ユニット)・ADAS(先進運転支援システム)・インフォテインメントシステムなどにARMのCortex-Rシリーズ(リアルタイム処理向け)やCortex-Aシリーズが広く採用されています。
今後さらに利用範囲が広がる可能性がある
自動運転・スマートシティ・AI処理の需要増加とともに、ARMの適用範囲はさらに広がると予想されています。
ARMを理解するときに知っておきたい用語
CPU
Central Processing Unit(中央処理装置)の略。コンピューターの処理を担う中心的な部品です。
アーキテクチャ
CPUの設計思想・論理的な構造・命令セットの仕組みを指します。異なるアーキテクチャのソフトウェアはそのまま動作しない場合があります。
SoC
System on a Chip(システム・オン・チップ)の略。CPU・GPU・通信機能などをひとつのチップに統合したものです。
RISC
Reduced Instruction Set Computer(縮小命令セットコンピュータ)の略。シンプルな命令セットで効率的に処理するアーキテクチャの考え方で、ARMはRISCベースです。
Cortex
ARMが提供するCPUコアシリーズの名称。Cortex-A(高性能)・Cortex-R(リアルタイム)・Cortex-M(マイコン向け)の3系統があります。
ライセンス
ARMの設計を使用する権利です。各メーカーはArmとライセンス契約を結んでARMアーキテクチャを使用できます。
低消費電力
少ない電力で動作できる特性です。ARMの最大の強みでバッテリー駆動の機器に特に重要です。
組み込み機器
家電・産業機器・医療機器など特定の用途に特化した機器の中に組み込まれたコンピューターシステムのことです。
ARMに関するよくある質問
ARMとは何ですか
低消費電力を重視して設計されたCPUアーキテクチャです。スマートフォン・タブレット・IoT機器など現代のモバイルデバイスに広く採用されています。Arm Limited(旧ARM Limited)が設計を提供し、各メーカーがライセンスを受けて独自チップを開発しています。ARMの詳細な解説についても参考にしてください。
ARMはCPUの名前ですか
厳密にはCPUそのものではなくCPUの設計思想(アーキテクチャ・命令セット)を指します。ただし日常的に「ARMチップ」「ARM系CPU」という表現でARMベースのCPU製品を指すこともあります。
ARMアーキテクチャとは何ですか
CPUがどのように命令を処理するかの論理的な仕組みです。RISCの考え方を基本とし、シンプルな命令を高効率で実行することで省電力・小型化を実現しています。Cortex-A・R・Mの3系統があります。
ARMとSoCは何が違いますか
ARMはCPUの設計アーキテクチャ、SoC(System on a Chip)はCPU・GPU・通信機能などを1チップに統合した半導体製品です。多くのスマートフォン向けSoCがARMアーキテクチャのCPUコアを採用しています。
スマートフォンにARMが使われる理由は何ですか
省電力(バッテリー持ち向上)・小型化(薄型スリムな筐体)・発熱抑制(ファンなしでの動作)の3点がスマートフォンの要件と一致しているためです。IntelとARMの違いを詳しく解説した記事でも、ARMがモバイル向けに選ばれる理由が説明されています。
ARMとIntel CPUは何が違いますか
ARMはRISCベースで省電力・小型化を重視した設計、IntelはCISC(複雑命令セット)系のx86アーキテクチャで高い処理性能と豊富なソフトウェア互換性を重視しています。用途に応じた得意分野が異なります。
Apple MシリーズはARMですか
はい、AppleのMシリーズ(M1・M2・M3・M4)はARMアーキテクチャをベースにAppleが独自設計したSoCです。MacBook・Mac miniなどに搭載され、省電力と高性能を両立したことで注目を集めています。
ARMはパソコンでも使われていますか
はい、使われています。Apple MシリーズのMac・QualcommのSnapdragon搭載WindowsPCなど、ARMベースのPCが増えています。ARMアーキテクチャの技術解説でも、PC分野への展開が説明されています。
まとめ:ARMとは低消費電力と小型化に強いCPUアーキテクチャ
映像制作や動画編集の環境選びでMacを検討する際にも、ARMベースのApple Siliconの特性を理解することは重要です。
ARMはスマートフォンやタブレットで広く使われている
省電力・小型・発熱抑制という特性がモバイル機器の要件と完全に一致しており、現代のほぼすべてのスマートフォン・タブレットにARMベースのSoCが採用されています。
SoCと組み合わせることで小型・省電力な端末を実現しやすい
ARMのCPUコアを中心に、GPU・通信機能・カメラ処理など多くの機能をひとつのSoCにまとめることで、薄型軽量・長時間バッテリー・ファンレスのモバイル端末が実現できます。
ライセンス形態により多くのメーカーがARMベースのチップを開発している
Armがアーキテクチャのライセンスを提供するビジネスモデルにより、Apple・Qualcomm・Samsung・MediaTekなど多くのメーカーがARMをベースにした独自SoCを開発できます。競争によりARMエコシステム全体の進化が促進されています。
今後もPC・IoT・自動車など幅広い分野で重要性が高まる
パソコン分野でのApple Siliconの成功・自動運転や電動化が進む自動車分野・さらに拡大するIoT市場と、ARMの活躍する舞台は今後さらに広がることが予想されます。

