HyperDeck Studioは1Uのコンパクトなスタジオディスクレコーダーです。 完全なスタジオ用でバッテリー駆動はできません。SDIおよびHDMIの入力から単体でSSDに収録が可能で、新しいHyperDeck Utility 3.0では非圧縮、DNxHD(MXF)、 DNxHD(QT)に加え Quicktime Prores HQの収録も可能になりました。また、カメラのタイムコードをサポートし、スタートストップやタイムコードランによるトリガーもサポートしています。
可搬性を上げるためにモバイルラックに組み込んでみます。単純にHyperDeck StudioをMacBookProやMacBookAirなどと共に持ち運ぶという形もありますが、Mac miniを一緒にラックマウントしてみました。
XServerも販売中止になり、現在標準でラックマウントできるMacは存在しません。Sonnet RackMac miniを使用しMac miniをラックマウントします。
Sonnet – RackMac mini: Mac mini Rack Enclosure for 1U Rack Space
Sonnet RackMac mini は1Uのラックマウントエンクロージャーで、最大2台のMacminiを搭載することができます。同じくSonnetのxMac Mini Serverを導入したかったのですがまだ未発売です。(プリオーダー中で6/6 出荷らしいです。) xMac Mini ServerではThunderbolt接続によるフルレングスx16(x4モード)PCIe2.0スロットとハーフレングスx8(x4モード)PCIe2.0スロットの二本が内蔵され、補助電源が装備される予定です。例えばSAS RAIDカードやキャプチャーカードなどを内蔵することで1Uで汎用性の高いマシンを組み上げることができます
Sonnet – xMac mini Server: PCIe 2.0 Expansion System/1U Rackmount Enclosure
Macminiは デュアルコアIntel Core i5 2.5GHz :500GB Radeon HD 6630Mモデルを選択し、増設メモリーは8GBx2枚、計16GB搭載しました。
問題はディスプレイです。可搬性のあるキャリングケースに納めるにはどれも大きすぎて、また収まるサイズのディスプレイだとフルサイズのHDに対応していないものがほとんどです。 HP Elite 21.5インチワイド Ultra Slimモニター L2201xはFull HDの超薄型モニターです。
日本HP 21.5インチワイド Ultra Slimモニター L2201x
MVAパネルのため反応速度は少し遅いのですが、薄さと視野角が魅力的です。ただし入力がDisplayPortしかありません。
DPからDVI、HDMIの変換は数多くあるのですが、DPへの変換はなかなかありませんでした。 そこでディスプレイポートへの変換機を使用します。ATLONAのMiniDisplay Port SwitchはHDMIとDPの切り替え機でDPで出力されます。HDMIの場合はオートスケーリングがかかり、インプットとアウトプットが同じアスペクトでない場合縦か横に伸びます。(DPの場合はバイパスです。)今回Thunderboltをクレードルに接続するためにDPは使用はしません。
MacminiとHyperDeckの切り替えは汎用のHDMIセレクターを利用します。切り替えを後段に持ってきたのは収録中でも安全にMacと収録画面を切り替えるためです。このモニターの特筆すべき点は「1Uに収まること」です。
入力は外部からのSDIで行います。入力をそのままHyperDeckで収録し、SDI出力をHDLink Proに送ります。HDLink Utilityを使うことでLUTの調整ができ、
例えば、PomfortのLiveGradeを使うことでライブでファーストルックを作ることが可能になります。
Synergy LiveGrade(ライブグレード)
BlackmagikのUtility類はUSBで接続し機器のセットアップを行います。ラック内でUSBが常に接続されているので瞬時にセットアップが可能です。コーデックの切り替え等はUtilityで行います。
HyperDeck StudioはいつでもSSDを抜き出し、瞬時にクレードルを利用してPCに接続することができます。クレードルはThunderboltのケーブルでSonnet Echo ExpressCard/34でeSATA変換し接続しています。
ラック制作当時は発売されていなかったのですが、間にWD Mybook Thunderbolt Duoなど2ポートのディスクを挟めばインジェストはさらに高速になると思います。また、高速なPCIe 2.0がサポートされたEcho ExpressCard/34のProモデルが先日発売されました。このようにThunderbolt周辺機器は日進月歩です。Thunderboltは確かに高速で汎用性はありますが万能ではありません。
予備のストレージは2.5inch 2基のレイドドライブでFirewire800接続しています。Firewireの利点はアダプターを使用しなくてもバスパワーで利用できる点です。
ラック内に入れてしまうと配線が煩雑になるので、背面にトランスポート類を出しました。 ブランクパネルにNEUTRIKのレセプタクルを取り付けています。
Neutrik – Video Product Line
イーサネットで小型Wifiルーターと接続しています。現在HyperDeck Studioのネットワークインターフェースは機能していませんが、Utilityのアップデートで対応するらしいです。また収録中に画面を切り替えることが不可能な場合、MacBookAir等で画面共有することでMacmini本体の操作を可能にします。
駆動時には結構熱くなりますので連続使用の場合には廃熱処理を考えたほうがいいのかもしれません。
モバイルラックを利用することで、現場やスタジオに搬入しても煩雑なセットアップの必要なく、数本のケーブルを繋ぐだけで瞬時に収録が開始できます。BMD製品は組み合わせ次第でいろいろな可能性があるのが魅力だと思います。大人のレゴブロックみたいなものですね。
ThunderboltIによるキャプチャーやUltraScopeソフトウェアでの波形モニター表示を備えた、Proresによるフル4K再生可能なHyperDeck Studio Proは7月に登場予定です。
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