基本操作ガイド クリップの色補正
このページはカラーページの解説です。
編集が終わりエフェクトを追加したら色補正を開始します。順番に拘る必要はなく、編集中でもオーディオのミキシング中でもページを切り替えて色調整ができます。
GPUスコープが搭載され、より詳細に色を判断できるようになりました。
さらに詳しく知りたい方はこちら。
基本操作ガイド 2 はじめてのDaVinci Resolve
基本操作ガイド 3 Blackmagic RAWファイルの操作
カラーページのインターフェース
上部にビューアとノードエディタがあり、下に色調整のためのパレットが並びます。
パレットは3つに分かれ、左側のレフトパレットはカメラRAW設定やカラーホイールがあり、主に一次的な色調整で使用。
中央のセンターパレットはカーブ、クオリファイア、ウインドウなどがあり二次的な色補正のツールが並びます。
一番右側はスコープとキーフレームエディタを切り替えて使い、スコープは独立したウインドウで表示できます。
GPUスコープ
DaVinci Resolve 16ではGPUスコープが搭載。より細かく高速に処理できます。
「環境設定」>「システム」>「メモリー&GPU」で「GPUスコープを使用」をオンにします。
「ローパスフィルタ」で見やすくなり、「CIE 1931 xyスコープ」で色域をチェックできます。
色と明るさをスコープで判断します。スコープの種類により表示する内容が異なります。
それぞれのスコープの見方です。
パレードスコープ
RGB、YRGB、YCbCrでそれぞれ分離された波形を表示。
YRGBでは明るさ(輝度)とRGBをそれぞれ分離します。縦がチャンネルのレベル、横が画面内の位置です。
RGBがそれぞれ分離されるため、全体のカラーバランスを判断できます。
波形
パレードを重ね合わせた状態です。パレードは各チャンネルごとのバランスを比較するのに対し、波形では全体の明るさを判断。
シャドウ、ミッドトーン、ハイライトの明るさを見る時に使います。
横軸は画面内の場所で、その場所がどの程度の明るさかを判断します。
ベクトルスコープ
「ハイ」「ミッド」「ロー」の3つ範囲を選べ、より詳細なバランスをみることができます。
ベクトルスコープは色の方向性と強さを表示。色の方向はカラーホイールと同じです。外側に行くほど色の成分が強くなり、中央に寄るほど無彩色に近づきます。
範囲が選べることで、ホワイトバランスやブラックバランスを調整しやすくなりました。
ヒストグラム
横軸が明るさで、縦軸がその明るさのピクセルの総量です。右側が多いほど画面は明るく、左側が多いと画面が暗くなります。
ヒストグラムで判断しやすいのは露出などのパラメータの調整。
DaVinci Resolve 16ではスコープと別にカーブ上にヒストグラムを表示し、調整する部分を視覚的に判断できます。
CIE 1931 xyスコープ
色域の範囲を表示します。外側のラインは可視光の最大の範囲でターゲットの色域が三角形で表示されます。
三角形からはみ出す色は規格外の色です。
カラーグレーディングの流れ
大まかなカラーグレーディングの流れです。一般的な方法なので、必ずしも従う必要はありません。
カラーマネージメント
まずはターゲットとなる色域とガンマを決定。
「プロジェクト設定」>「カラーマネージメント」で設定します。
通常の設定は一般的な放送用のHDを対象とした「Rec 709 Gamma 2.4」。カラーサイエンスは「DaVinci YRGB」です。
これは放送用の色域とガンマを使い、キャリブレーションされたモニターで判断することを目的とした設定です。
タイムラインで設定したカラースペースが入力から出力まで全てに影響します。
入力、出力、タイムラインで設定を分けるには「DaVinci YRGB Color Managed」を使用。「ACES」を選択することもできます。
このカラーマネージメントの設定は編集ページから出力ページまで全てに影響し、最初に設定することをオススメします。
カメラRAW設定
次にカメラRAWの設定。グレーディング時に変更もできますが、RAW素材を扱う場合は、まずこれを設定します。
カラーページに設定がありますが、プロセスの順序としてはエディットページの前に入る点も注意です。
ノーマライズ処理
その次にノーマライズの処理です。撮影された素材のコントラストを調整します。全ての階調を生かしバランスを整えます。
黒のレベルを決定し、クリップしないようにハイライトのレベルを調整します。スキントーンを生かすためにガンマレベルを調整します。
波形やヒストグラムを使いバランスを整えます。
ホワイトバランスの調整
簡単にカラーバランスを整えるには、カラーチャートを使うとすぐにできます。白を白、黒を黒として設定するにはパレードスコープやベクトルスコープを使い調整。
ただし必ずしも「画面内の白」が本当の白である必要は無い点に注意が必要。照明条件や環境により変わります。
ビデオのプロジェクトでは純粋な白を基準にしてバランスを整えますが、必要なのはシーンやショットでこのバランスが整っていることが重要です。
一方、バランスが整った素材は同じパラメータで調整でき後の処理が楽になります。
創造的なグレーディング
色で感情を煽るためにシーンに色を加えたり、カーブで特定の色を強調したり、クオリファイアで色を強調するなどの作業を行います。特殊な効果はOpenFXやResolveFXを追加します。
ショットやシーンで注目する部分を強調する作業です。
画像のリペア
一般的な色補正だけでなく、撮影された映像の修正にもグレーディングツールを使用する場合があります。
映像のノイズを除去したり、一部分をぼかしたり色を変えるといった作業もグレーディングに求められます。
カラーホイール
カラーホイールを操作してクリップの色調とバランスを整えます。
まずはクリップのノーマライズ。シャドウ、ミッドトーン、ハイライトを最適化します。
「リフト」「ガンマ」「ゲイン」を操作してバランスを取り創造的な「ルック」を作るための出発点を作ります。
カラーホイールの下のダイヤルを左右に動かすと、同じバランスで調整。
「プライマリバー」に変更すると、YRGBをそれぞれバーの上下で調整できます。
「リフト」の調整
クリップを選択し、カラーホイールの「リフト」の下のダイアルを左右にスライドすると 波形スコープで画像の暗部が上下するのが分かります。
画像の暗い部分が一番下でクリップしないようにに調整します。
「ゲイン」の調整
「ゲイン」の下のダイアルを左右にスライドすると ハイライトの部分が上下するのが分かります。
波形スコープの上部のラインを超えないように調整します。このラインを超えるとクリップしてディテールが失われます。
「ガンマ」の調整
「ガンマ」の下のダイアルを左右にスライドすると 中間部分が上下するのが分かります。
一般的な中間値の最適な位置は波形の50〜70%ですが、ルックとライティング条件により変わります。
カーブパレット
カーブパレットにはヒストグラムを重ねて表示できるようになりました。
対角線上をクリックしてポイントを追加して上下左右に調整すると、対象の位置のレベルを操作できます。
オプションでヒストグラムの表示方法を選択できます。「入力」を選ぶと入力の状態を表示。「出力」は補正が適用された状態を表示します。
ヒストグラムはHSLカーブでも表示できます。
自動補正とショットマッチ
レフトパレットの下の「A」ボタンは自動補正のボタンで、DaVinci ニューラル エンジン(AI)を使いカラーバランスとコントラストを自動的に調整します。
ショットマッチも自動補正されたクリップを元に最適化されるように変更。素早くグレーディングの開始点を見つけることができます。
サムネイルで対象となるクリップを選択し、元になるクリップを右クリックし「このクリップにショットマッチ」を選択します。
以前の設定に戻すには「環境設定」>「ユーザー」>「カラー」パネルで「従来のオートカラー/ショットマッチを使用」を選択します。
セカンダリ カラーコレクション
画像の特定の部分の調整は、セカンダリ(二次色補正)を使用します。ノードを使うことで複数の効果を重ねて作業できます。
ウィンドウで一部分を切り取り、トラッキングで動きに追従できます。
クオリファイア
クオリファイアでクリップの特定の色を強調できます。
ノードエディタでノードを選択し、右クリックで「ノードを追加」>「シリアルノードを追加」でノードを追加。
ビューアのツールが選択範囲を選ぶ「ピッカー」になっていることを確認し、変更する色の部分をクリック。
「ハイライト」ボタンでビューアの表示を変更し「色相」ウィンドウの「幅」コントロールで選択範囲を調整します。
ホイールやカーブで選択した部分の色を補正できます。
パワーウィンドウの追加
クオリファイアは画面全体に影響します。一部分を切り取るにはパワーウィンドウを使いマスクします。
「ウィンドウ」パレットで「シェイプ」をクリックしてウィンドウシェイプを選択。
青い点をドラッグしてサイズを変更、赤い点でエッジのボケを調整します。中心点をドラッグして位置を調整し、ハンドルで回転できます。
ウィンドウのトラッキング
ウインドウはトラッキング機能で追跡できます。
先頭のフレームに移動して、ウインドウの位置とサイズを対象に合わせます。
「トラッカー」パレットで、対象の動きに合わせパン、チルト、ズーム、回転、パースペクティブ3D設定のチェックボックスを選択します。
「進む」矢印をクリックすると、フレーム毎に動きを解析します。
解析が終了すると、ウインドウが動きに合わせて移動。ウインドウの位置や動きを調整するには、キーフレームエディタを使います。
スチルの保存
クリップに適用したグレーディングの情報はスチルとして記録します。
ビューアを右クリックして「スチルを保存」を選択。
ギャラリーに保存され、タイムラインのクリップとワイプで比較したり他クリップにドラッグして適用できます。
「画面分割」で「選択したスチル」を選ぶとギャラリーで選択した複数のスチルと比較できます。
タイムラインアルバム
以前は他のショットと比較する場合、スチルを保存するする必要がありました。
「タイムラインアルバム」のサムネイルを右クリックして「タイムラインクリップのワイプ」を選択すると、スチルを保存せず他のクリップと比較できます。
「タイムラインアルバム」のグレードを他のショットにも適用できます。
プラグインの使用
ResolveFXやOpenFXプラグインを使い、特殊な効果を追加できます。
「OpenFX」のパネルからプラグインをノードにドラッグしてインスペクタで調整します。
「OpenFX」が適用されたノードを右クリックしてOpenFXの削除や入力の追加ができます。
さらに詳しく知りたい方はこちら。
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