今回はダビンチ リゾルブのカットページのインスペクタ ビデオとオーディオです。ちょっと長いので分けました。
画面の右側にあるのがインスペクタね。
ダビンチ リゾルブのインスペクタの概要
インスペクタは様々なパラメータを調整するところ。上のタブで必要な機能にすぐにアクセスできるよ。
インスペクタはタイムラインだけじゃなくメディアプールのクリップも調整できるのね。
さらに、複数選択したクリップの設定を一度に変更できるのだ!
インスペクタは、「ビデオ」「オーディオ」「エフェクト」「トランジション」「イメージ」「ファイル」のタブに分かれてて、調整できない項目はグレーアウトしてるよ。
選択されたクリップの名前が表示されて、どのクリップを調整してるかわかるんだ。名前の左側のアイコンはクリップとトラックの切り替えだよ。ちなみに3点オプションを開くと、まとめてリセットできるからね。
パラメータの左のオレンジ色のボタンはなに?
オンオフの切り替えだね。オレンジ色が「有効」でグレーが「無効」。無効にするとデフォルトの状態に戻って操作できなくなるよ。リセットするまで前の情報を覚えてるから、単純にオンオフを切り替えるボタンとして使えるよ。
コントロール名をクリックすると調整項目を開閉できる。右端のボタンはリセットボタンだよ。
左側にあるひし形のドットはアニメーションのボタン。押すと現在のフレームに「キーフレーム」を作るんだ。
キーフレームってなにかしら?
調整した値を記録するポイントだよ。キーフレームを2つ作るとその間を補完するんだ。
たとえば、タイムラインのどこかで「位置」を動かしてキーフレームのドットを押す。タイムラインの別の場所で「位置」を動かすと自動的にキーフレームが作られるんだ。再生すると「アニメーション」してるのがわかるよ。
ドットの隣の横矢印をクリックすると、別のキーフレームに移動する。オレンジ色のドットをクリックするとキーフレームは消えるよ。リセットボタンは数値だけじゃなくキーフレームの情報もリセットするからね。
じゃあ、1つずつ見ていこう!
「ビデオ」タブは「映像」に関する項目がまとめられてるよ。
カットページのインスペクタ「ビデオ」タブ
変形
「変形」は「ズーム」で大きさを変えたり「位置」で場所を動かすときに使うんだ。
まずは、「ズーム X/Y」。「X」が横で「Y」が縦だよ。チェーンのマークは縦横比を固定するアイコン。外して片方だけ拡大/縮小できる。
「位置 X/Y」は画面の位置。「X」は横で「Y」は上下に動くよ。
「回転の角度」はアンカーポイントを中心にして360°で一回転、マイナスで逆回転するんだ。
「アンカーポイント X/Y」は変形の中心になるポイントだよ。
「ピッチ」は画像の中央の横方向を軸に画像を伸縮させて傾いたように見える効果。
「ヨー」は「ピッチ」とは逆に、縦方向を軸に伸縮させるんだ
「反転」の左側のアイコンは左右の反転。鏡に映したような効果だね。右側は上下反転だよ。
ちなみに、サイズを小さくしたり、位置を動かして元の画面の無い部分が現れると、下が透けちゃうからね。下にビデオトラックがあれば映像が表示されるけど、何もないと黒くなるよ。
透けてる部分の表示は、ビューアの「タイムラインオプション」の「ビューアの背景」でグレーかチェッカーボードを選ぶと変わるよ。ただし、ビデオに書き出すときは黒くなるからね。
スマートリフレーム
「スマートリフレーム」はスタジオ版の機能ね。
例えば、縦長動画とか人物を中心に合わせるときに使えるよ。「DaVinci Resolve Neural Engine」で自動的に解析して追いかけて再配置するんだ。手動でバウンディングボックスを配置して実行もできるよ。
クロップ
「クロップ」は上下左右を切り取る効果。「ソフト」でエッジをぼかせるよ。「イメージの位置を維持」にチェックを入れると、クロップした枠は動かさずに中の画をだけを動かせるようになるのだ。
ダイナミックズーム
「ダイナミックズーム」はクリップ全体の長さでゆっくりズームイン/アウトする効果。通常はオフだよ。
ビューアの「ツール」からアクセスすると、最初と最後のフレームの場所を赤い枠と緑の枠で調整できる。徐々に加速(イーズイン)したり、徐々に減速したり(イーズアウト)一定のスピード(リニア)にしたり、前と後を入れ替える「反転」を選択できるのだ。
合成
「合成」は画像処理的なビデオの重なり方を選択できるんだ。デフォルトは「通常」。これは、重なり方に何も処理されていない状態を示すよ。「不透明度」は100%で透けてない状態、0%で透けて見えなくなってる状態だよ。
編集点のディゾルブは時間的に0%から100%になるけど、ずっと同じ数値で保っていたり、キーフレームで効果を付けたいときは「不透明度」が便利なのだ!
速度変更
「速度変更」は常にオンになっていてオフにできないんだ。「速度変更」を説明するには、1ページ分くらい必要だけど…簡単に説明するね!
わ…わかったわ。
まず、速度を変更するにはいくつか方法があるんだ。一番簡単なのは、タイムラインのクリップを選択して右クリックして「速度を変更」を選ぶ。すると、ビューアに速度コントロールが表示されるんだ。
速度コントロールの100%のところを50%にすると、スローになるよ。この時も「リップルを有効化」が影響することを覚えておいてね。リップルが有効だと長くなるし、リップルが無効だと長さは変わらない。ちなみにマイナスの数値を入れると逆再生するよ。
50%にしたらゆっくり再生されたわ。でも…なんかカクカクするみたい。
半分の速度にしてスローにすると、単純に同じコマが2回再生されるんだ。そんな時はインスペクタにある「リタイム&スケーリング」の「リタイム処理」の項目を変えるんだ。「オプチカルフロー」に変えて、動き推定を変えてみるとイイよ。「スピードワープ」はモーションエスティメ………
よくわからないけど、なんか滑らかになったわ。
一回リセットして、今度は「速度ポイント」を説明するね。ビューアの速度コントロールの「速度」の隣に「速度ポイントを追加」(Add Speed Point)があるのがわかるかな?
アイコンがあるけど。
それを押すと、タイムラインに「速度ポイント」が追加されるんだ!
黄色い線が表示されて、100%ってなってる。
黄色い線はスピードを視覚的に表現してる。タイムラインの100%っていうところを左クリックするとそのセグメントの速度が選べるよ。「設定」を選ぶと数値で入力できる。0%にすると今見ているところにフリーズフレームが作成されるのだ。
フリーズフレームっていうのは?
止め画の状態だね。ストップモーションとも呼ばれるよ。今のところ「速度ポイント」で追加したフリーズフレームの長さは変えられないけど、他の部分はタイムラインの速度ポイントのバーの上部を横に動かして長さを変えられるんだ。
そこをクリックすると、ポイントを削除したり、カーブをリニアやスムースに変えられるよ。
カットページでは「速度ポイント」で途中から逆再生にはできないけど、簡単に「スピードランプ」って呼ばれる効果を作れるんだ。エディットページとも互換性があって、そっちでもっと細かく調整できるよ。
現在、逆再生しているクリップに対して「速度ポイント」を追加できますが、途中で順方向に変更できません。
ここで注意点!「速度ポイントを追加」で調整したクリップに対して、ビューアやインスペクタで「速度」コントロールを動かすと全部消えるからね。
…。
次に行くよ。インスペクタに戻って「速度変更」の名前をクリックして開くと「方向」に3つのアイコンがあるのがわかるよね。
左から「順方向」「逆方向」「フリーズフレーム」ね。
通常は「順方向」なんだ。クリップを逆再生したい場合は「逆方向」を押す。「フリーズフレーム」のボタンを押すと、タイムラインの再生ヘッドの位置に静止画が作成されるよ。
これは「速度ポイント」とは違った使い方ができるんだ。
例えば、タイムラインでクリップを再生して、止めたいところで「フリーズフレーム」を押す。「+200」って打ってタイムラインを2秒進めてクリップを選択して、もう一度「フリーズフレーム」を押す。次のクリップを選択して「順方向」を押す。
そうすると、クリップの間に止め画ができて、2秒たったら再生する動画ができるんだ。「速度ポイント」と違って、編集点はできるけど「フリーズフレーム」は自由に伸ばせるからオススメだよ。説明のテロップを入れたりして効果的に使えるのだ。
「ピッチ補正」は映像の速度に合わせてオーディオの長さを変更しつつ自然な音を再現するよ。
やっぱり長くなっちゃったね。次に行くよ!
スタビライゼーション
「スタビライズ」は手ぶれ補正だよ。ビューアの「ツール」からも簡単にアクセスできる。選べるオプションは3つあって「遠近」「遠近なし」「縦横のみ」。
「遠近」はパースペクティブ、パン、ティルト、ズーム、回転を分析してスタビライズするよ。
「遠近なし」はパースペクティブなしで分析するのだ。「遠近」を使って画像がぷるぷるして落ち着かないときはこっちを使うとイイよ。
「縦横のみ」はパンとティルトの情報を使って分析する。ズームや回転は考慮に入れないよ。
「カメラロック」は三脚を使ったように手持ちのカメラの動きを除去する効果。動きをスムースにするオプションは無効になるんだ。
「ズーム」はスタビライズ時に外枠が出ないように自動で拡大するチェックボックスだよ。オフにすると拡大しないけど、はみ出したところは透けちゃう(黒になる)からね。
「クロップ比率」はスタビライズの割合。1.0にするとスタビライズされないよ。小さくするほど強くなるけどその分拡大が必要になる。値を変更したらもう一度「スタビライズ」してね。
「スムース」は滑らかさだよ。不要な揺れを除去する効果があるけど、低いほど元の動きに近くなって高いほど滑らかになるよ。これも変更したらもう一度「スタビライズ」してね。
「強度」はスタビライズの強さ。通常は1.0で、マイナスにすると逆の動きで激しくできるのだ。
ちなみにうまく動かないときは、一度リセットして解析しなおしてみるといいからね。
レンズ補正
「レンズ補正」はスタジオ版の機能ね。
「分析」を押すだけで自動的にレンズの歪みを判断して補正するよ。分析が終わると「歪み」に数値が入るから、そこから微調整できるよ。ビューアの「ツール」からも使えるんだ。
リタイム&スケーリング
「リタイム&スケーリング」は結構重要な機能なんだ。クリップをスケーリングするときや速度を変更するときの補完方法のパラメータなのだ。
「リタイム処理」「動き推定」「スケーリング」「リサイズフィルター」の4つのパラメーターがあって、初期状態ではどれも「プロジェクト設定」になってるよ。
「プロジェクト設定」はどこにあるの?
「プロジェクト設定」は右下のギアボタンからすぐに行けるよ。
「プロジェクト設定」は、個別に指定しない限りすべての要素に影響します。
リタイム処理
「プロジェクト設定」>「マスター設定」>「フレーム補完」で設定ができます。
デフォルトの設定
- リタイム処理:ニアレスト
- 動き推定モード:標準(速度優先)
- 動きの範囲:中
スケーリング処理
「プロジェクト設定」>「イメージスケーリング」>「イメージスケーリング」および「入力スケーリング」で設定ができます。
デフォルトの設定
- リサイズフィルター:シャープ
(カスタムでオプションのフィルターを選択できます) - 解像度が一致しないファイル:最長辺をマッチ黒帯を挿入
じゃあ、「リタイム&スケーリング」のパラメータを説明していくね。
リタイム処理
まずは「リタイム処理」。これは、クリップの速度変更だけじゃなくて、フレームレートが混在するタイムラインにも影響するからね。
「ニアレスト」はスピードが速い場合はコマを抜いて、遅い場合は同じフレームを複製する。さっき50%でスローにしたときカクカクしてたのは2回同じコマが表示されてたからだよ。
なるほど!
「フレームブレンド」は前のコマと後のコマを単純にミックスして間のコマを作るんだ。だから「ニアレスト」よりは滑らかだけど、残像が残ったりするよ。
「オプティカルフロー」はそれよりも高度な補完方法で、動きを推測して元のフレームから新しいフレームを生成するんだ。「オプティカルフロー」じゃないと「動き推定」メニューは選択できないよ。
「動き推定」の「標準(速度優先)」と「標準(画質優先)」は結構古くからある推定方法で、これでも問題ないんだけど、さらに良い結果を得るために速度を犠牲にして「高品質(速度優先)」と「高品質(画質優先)」を利用できる。さらにさらに、DaVinci Neural Engineを使った「速度ワープ(速度優先)」と「速度ワープ(画質優先)」が追加されたよ。
「速度ワープ」はスタジオ版限定ね。
ただ、「オプティカルフロー」は高品位なスローモーションが作れる半面、動きのあるモノの前を何か横切ったり、急激な動きがあると「変なうねうね」(アーティファクト)が発生しやすいんだ。
素材が良くないと、へんなうねうねになりそうね。
スケーリング
次は「スケーリング」。「クロップ」「フィット」「フィル」「ストレッチ」の4つがある。「クロップ」は切り取る、「フィット」は合わせる、「フィル」は埋める、「ストレッチ」は伸ばすって覚えておくとイイよ。
デフォルトでは解像度の異なるクリップはすべて自動的にリサイズされる設定になってる。だから解像度と一致しないクリップを処理する方法を決めるんだ。
「リサイズフィルター」は拡大/縮小したときのピクセルの補完方法だよ。
「スムース」は高解像度の映像をSDに縮小するときとかに適してる。「シャープ」は大きなフレームサイズに拡大する場合とか。通常はこれになってるよ。「バイキュービック」は「スムース」と「シャープ」に劣るけど負荷が低いのが特徴。「バイリニア」は品質は低いけど、さらに負荷を減らしたいときに使う。最終的なレンダリングには向いてないからプレビュー用だね。
基本はこの4つで、あとはオプションを選択できる。通常は「プロジェクト設定」のままで問題ないのだ。
スーパースケール
「スーパースケール」もスタジオ版の機能かしら。
「スーパースケール」はシャープネスとノイズ除去を備えた高品質のアップスケーリング技術。超解像って言われるやつだね。「DaVinci Resolve Neural Engine」の機能を使ってるよ。
カットページのインスペクタ 「オーディオ」タブ
「オーディオ」タブは「オーディオ」に関する項目がまとめられてるのだ。
オーディオタブには、「ボリューム」「パン」「ピッチ」「EQ(イコライザー)」が含まれるよ。さらに、タイムラインのクリップには「音声分離」「会話レベラー」「音楽リミキサー」が加わるんだ。
「ボリューム」はクリップ単位のボリューム。ビューアのツールからも操作できるよ。
「パン」はクリップ単位のステレオパン。
「ピッチ」はクリップ単位で速度を変えずピッチを変更できるよ。「半音」や「セント」で調整できるのだ。
「EQ(イコライザー)」はクリップ単位の4バンドのパラメトリックEQ。これらのインスペクタのコントロールはエディットページやフェアライトとも共有してるんだ。
今日はこんなところかな。次はインスペクタの後半!
カットページのエフェクトとトランジションについてはこっちだよ。
またね~
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