トラック、バス、パッチの設定
トラックの構成
編集ページのオーディオトラックは、複数のチャンネルがある場合でも1つのクリップしか表示しません。
そのため編集ページでは、複雑なマルチチャンネルのソースを意識することなく編集する事ができます。一方、フェアライトページに表示されるトラックの数は編集ページと同じですが、トラック内に含むチャンネルは「レーン」として表示されます。
例えば、モノラルのトラックの場合は1レーン、ステレオは2レーン、5.1chのサラウンドは6レーン、7.1chは8レーンをそれぞれのトラックに含みます。
各トラックはミキサーパネルのそれぞれ1つのチャンネルストリップに対応し、レーン数のオーディオレベルメーターが表示されます。
トラックの操作
トラックの新規追加、削除や移動、チャンネル数の変更などはトラックヘッダーを右クリックして表示されるコンテキストメニューから行います。
トラックの種類の変更はいつでも行う事ができ、変更したトラックで使用できないチャンネルがある場合は自動的にミュートされます。
クリップのチャンネル設定は「クリップ属性」の「音声」から変更します。ソースにエンベデッドされているチャンネルを任意のレーンにマッピングできます。
トラックの作成
新しいオーディオトラックの作成は、トラックヘッダーを右クリックして表示されるコンテキストメニューで行います。
直接タイプを指定してオーディオトラックを追加するか、「トラックの追加」ダイアログを使用して複数のトラックを指定のタイプで追加できます。
トラックの並べ替え
トラックヘッダーを右クリックし、コンテキストメニューから「トラックを上に移動」または「トラックを下に移動」でトラックを並べ替えできます。
オーディオトラックの種類の変更
トラックヘッダーを右クリックして表示されるコンテキストメニューで「トラックの種類を変更」を選択します。
モノ、ステレオ、5.1、7.1、適応(1-24)から選択できます。
- モノラル:
単独のチャンネルを持つ1つのレーンのトラックです。 - ステレオ:
ステレオの左右(LR)のチャンネルを持つ2つのレーンのトラックです。 - 5.1:
5.1サラウンドミックスに対応する6つのチャンネルを持つ6つのレーンのトラックです。ブロードキャスト(SMPTE)の場合、左(L)右(R))中央(C)低音増強(LFE)左サラウンド(Ls)右サラウンド(Rs)で並び、シネマの場合、左(L)中央(C)右(R)左サラウンド(Ls)右サラウンド(Rs)低音増強(LFE)の順で並びます。 5.1(L R C LFE Ls Rs)、5.1Film(L C R Ls Rs LFE) - 7.1:
7.1サラウンドミックスに対応する8つのチャンネルを持つ8つのレーンのトラックです。ブロードキャスト(SMPTE)の場合、左(L)右(R)中央(C)低音増強(LFE)左サラウンド(Ls)右サラウンド(Rs)左後方サラウンド(Lsr)左後方サラウンド(Rsr)で並び、シネマの場合、左(L)中央(C)右(R)左サラウンド(Ls)右サラウンド(Rs)左後方サラウンド(Lsr)左後方サラウンド(Rsr)低音増強(LFE)の順で並びます。 7.1 (L R C LFE Ls Rs Lsr Rsr)、7.1Film(L C R Ls Rs Lsr Rsr LFE) - 適応(アダプティブ):
最大24のオーディオチャネルを、24レーンまで保持できるトラックです。レーン数の変更はいつでもできますが、トラックを作成した時点で使用できるレーン数が決定します。
「適応」では、異なるチャンネルの組み合わせのクリップを保持できます。トラックで利用可能なレーンを超えるクリップがある場合、利用できないチャンネルは自動的にミュートされます。
「適応」トラックのレーンに任意のチャンネルを割り当てるには、タイムラインのクリップを右クリックして表示される「クリップ属性」で変更するか、トラックに持ち込む前にメディアプールでクリップを選択し、「クリップ属性」で対応するレーンに割り当てます。
トラックの削除
トラックヘッダーを右クリックして「トラックを削除」を選択します。トラックを削除してもクリップはメディアプールに残ります。
リンクグループ
トラックにあるチャンネルを分割し、個別にレベルを調整するなど、チャンネル毎に調整したい場合はリンクグループを使用します。リンクグループはモノラルのチャンネルを、望みのトラックの種類に自在に組み直す事ができます。
DaVinci Resolve 15 – フェアライト ページ リンクグループとバウンス
トラックをコミット(確定)したり、ステムとしてまとめたい場合にはバウンスを使用して書き出すことができます。
バスの概要
バスはタイムラインには表示されず、ミキサーとメーターウインドウにしか表示されません。
バスはタイムラインのトラックを様々な組み合わせでミックスしたり、特定のトラック毎にまとめるために使用するルーティングの機能です。
フェアライトページのトラックはデフォルトで全て一度「メイン」バスに接続され、コントロールルームから設定されているスピーカーに出力されます。
DaVinci Resolve 15 – フェアライト ページ オーディオ モニタリングの設定(2)
バスに入力された信号はミックスされ、1つのチャンネルストリップで制御できるようになります。
個々のトラックをサブバスにルーティング(サブミックス)したり、複数のサブミックスを複数のメインに分けてルーティングすることもできます。
トラックをミックスし外部でエフェクトを掛けたい場合などは、AUXバスを使います。
各バスは配信ページから直接出力できます。
バスの種類
DaVinci Resolveには4種類のバスがあります。
「メイン」バス
プログラムの主な出力で、デフォルトではすべてのトラックがルーティングされます。メインは複数追加することができ、プログラムのミックスに使うことができます。
「サブ」バス
サブミックスのためのバスです。複数のオーディオトラックを一つにまとめ、そのサブミックスをメインに接続できます。
「AUX」バス
「オグジュアリー」バスです。外部のエフェクターに接続したり、補助的なバスとして使います。
各トラックのチャンネルストリップに24のAUXバスセンドが含まれ、ソフトウェアまたはハードウェアのエフェクターにルーティングするために使用します。 プリまたはポストでトラックフェーダーの前後に接続にできます。
「マルチトラック」(MT)バス
マルチトラックバスです。MTバスは他のバスと異なり、ミキサーとメーターウインドウには表示されません。各MTバスは単一のモノラルトラックで構成されます。
MTバスにチャンネルを割り当てるにはFairlightメニュー >「バスの割り当て」から行います。
MTバスに割り当てるトラックは複数選択できますが、1つのMTバスの出力はモノラルの1トラックで、出力される前にミックスされます。
例えば、MTのバスを個々のオーディオチャンネル出力に割り当て、外部のマルチトラックレコーダでレコーディングしたり、デリバーページでチャンネル別に割り当てたマルチチャンネルを持つファイルを作成する場合などに使用できます。
バスの作成
Fairlightメニュー >「バスのフォーマット」を選択するとウィンドウが開き、必要な数のバスを作成できます。
上部にあるバスの追加ボタンで「メイン」、「サブ」、「AUX」、「マルチトラック」を作成すると、リストに新しいバスが追加されます。
バスリストでは名前の変更やフォーマッの選択、色分けが行えます。
「ユーザー名」をクリックするとカスタム名を入力でき、ミキサーのチャンネルストリップにバス名が表示されます。
バスのフォーマットの変更はこの設定で行い、規定のスピーカーチャンネルセットを持ったフォーマットでバスを作成できます。隣にはチャンネル数が表示されます。
システムにより使用できるチャンネル数が異なり、「バスの追加」タイトルの下に使用可能なチャンネル数が表示されます。使用可能なチャンネル数に達すると、バスで使用できるフォーマットを選択できなくなります。
リストの下にあるボタンで選択したバスを複製または削除できます。
バスの割り当て
作成したバスにトラックや他のバスを割り当てるには、Fairlightメニュー >「バスの割り当て」を選択するか、ミキサーにある「バスアサインボタン」を使用します。
ミキサーの「バスアサインボタン」には「メイン」と「サブミックス」が表示され、トラックをメインバスとサブバスに簡単に割り当てることができます。
Fairlightメニュー >「バスの割り当て」では、これらの選択を一括で変更できる他、MTバスの割り当てもできます。(AUXはミキサーの各トラックにあるAUXバーを使用します。)
「バスの割り当て」ウインドウでは以下の手順でバスにトラックを割り当てます。
- 先に割り当てたいバスを選択します。(トラック番号と名前が表示されています)
- 「メイン」バスは表示されている全てのトラックとバスに接続できますが、「サブ」「MT」バスはトラックのみが選択可能です。
- トラックリストはアイコン表示とリスト表示に切り替えできます。
- トラックの項目にある「すべて割り当て」と「すべて解除」で、選択しているバスの割り当てと解除が一括でできます。
- トラックかバスをクリックするとパッチされます。選択したい項目をドラッグしてバウンディングボックスで囲むと選択でき、選択のオンオフをトグルします。
- 選択終了したら、保存かキャンセルボタンを押しウインドウを閉じます。
「入力/出力のパッチ」ウィンドウ
複雑なルーティングを組む場合、Fairlightメニュー > 「入力/出力のパッチ」で「ソース」と「送信先」を指定して割り当てできます。
ウインドウを開くと左側にソース、右側に送信先が表示されます。
「ソース:Source」が送信元(トラックやバスなどの出力、送り)で、「送信先:Destination」が宛先(トラックやバスなどの入力、受け)で左から右に信号が流れます。
ソースをターゲットにパッチするには:
- 左上の「ソース」メニューからタイプを選択します。
- パッチを適用するソースのボタンをクリックします。
- 右上にある「送信先」メニューからタイプを選択します。
- パッチを当てたい宛先のボタンをクリックします。
- 右下にある「パッチ」ボタンをクリックすると、双方にパッチが適用され、接続状態が表示されます。
選択したい項目をドラッグしてバウンディングボックスで囲むと選択でき、選択のオンオフをトグルします。選択の順番はそれほど関係なく、既にあるオーダーで自動的に選択されます。順番を変える場合は一つずつ手動でパッチできます
接続を解除するには、解除する項目に対応するボタンをクリックし、「解除」をクリックします。
「ソース」と「送信先」コントロールの選択
次の「ソース」オプションが利用できます。
- オーディオ入力 (Audio Inputs):
利用可能な物理的なオーディオ入力です。オーディオを録音する場合に使用します。(SX-36、MADI、システムオーディオなど) - トラック リプロ(Track Repro):
トラック リプロダクション(Reproduction)の略で、プロセス前のトラック再生の信号を出力します 。 - トラック センド(Track Send):
トラック インサート センド - トラック ダイレクト(Track Direct):
トラック ダイレクト アウトは、トラックフェーダーのプリ(前)とポスト(後)が選択でき、オフセットがあります。 - マルチトラックバス ダイレクト(MT-Bus Dir):
マルチトラック バス ダイレクト アウトは、マルチトラックバス マスター フェーダーのプリ(前)とポスト(後)を選択できます。 - マルチトラックバス アウト(MT-Bus Out):
マルチトラック バス アウトは常にマルチトラックバス マスター フェーダーの後に出力されます。 - AUXバス センド(Aux-Bus Send):
AUX バス マスター インサート センド - AUXバス ダイレクト(Aux-Bus Dir):
AUXバス ダイレクト アウトはAUXバス マスター フェーダーのプリ(前)とポスト(後)を選択でき、オフセットがあります。 - AUXバス アウト(Aux-Bus Out):
AUX バス アウトは常にAUX バス マスター フェーダーの後に出力されます。 - サブバス センド(Sub-Bus Send):
サブバス マスター インサート センド - サブバス ダイレクト(Sub-Bus Dir):
サブバス ダイレクト アウトはサブバス マスター フェーダーのプリ(前)とポスト(後)が選択できます。 - サブバス アウト(Sub-Bus Out):
サブバス アウトは常にサブバス マスター フェーダーの後に出力されます。 - コントロールルーム モニター ダイレクト(CR-Mon Dir):
モニターシステムのダイレクトアウトです。フォールド アップ/ダウンの処理の後で、ボリュームレベル/Dim/ミュートの前が出力されます。 - コントロールルーム モニター アウト(CR-Mon Out):
モニターシステムアウトです。フォールド アップ/ダウンの処理とボリュームレベル/Dim/ミュートの後が出力されます。(モニター設定でスピーカーの設定をすると自動で接続されます) - メイン センド(Main Send):
メインバス マスター インサート センド - メイン ダイレクト(Main Dir):
メインバス ダイレクト アウトはメインバス マスター フェーダーのプリ(前)とポスト(後)が選択できます。 - メイン アウト(Main Out):
メインバス アウトは常にメインバス マスター フェーダーの後に出力されます。 - オシレーター(Osc):
オシレーター出力はサイン波、ピンクノイズ、ホワイトノイズを出力します。 - ソロ アウト(Solo Out):
AFLとPFLのソロバス アウトは常にそれぞれのバスマスターフェーダーの後に出力されます。
次の「送信先」オプションを使用できます。
- トラック入力:
トラックのレコードとスルーパスへの入力で、トラックに録音する場合などに使います。 - トラックリターン:
トラック インサートリターン - AUXバスリターン:
AUXバス マスター インサートリターン - サブバス リターン:
サブバス マスター インサート リターン - メインリターン:
メインバス マスター インサートリターン - コントロールルーム モニター イン(CR-Mon In):
コントロールルーム モニターへの入力で、フォールド アップ/ダウン処理に接続します。 - トークバック(Talk Back):
トークバックシステムのComm1とComm2 - オーディオ出力:
SX-36、MADI、システムオーディオなど、使用可能な物理オーディオ出力です。オーディオ出力が複数ある場合は、個々のオーディオ出力を個別にアサインして出力することができます。
チャンネルストリップの「入力」メニュー
ミキサーの各トラックのチャンネルストリップの上部に「入力」メニューがあり、入力とバスをパッチできます。
このオプションは、ソースとデスティネーションの選択が自動的に設定された状態で、「入力/出力のパッチ」 ウインドウが開きます。
- 入力:
「入力/出力のパッチ」がオーディオ入力とトラック入力を選択した状態で開きます。録音する場合に便利です。 - AUXバス:
「入力/出力のパッチ」がAUXバス アウトとトラック入力を選択した状態で開きます。AUXバスの出力をタイムライントラックにパッチします。 - サブバス:
「入力/出力のパッチ」がサブバス アウトとトラック入力を選択した状態で開きます。サブバスの出力をタイムライントラックにパッチします。 - メインバス:
「入力/出力のパッチ」がメインバス アウトとトラック入力を選択した状態で開きます。メインバスの出力をタイムライントラックにパッチします。 - パス設定:
パス設定を選択すると、トラックのパス設定ウィンドウが開きます。
パス設定には以下のパラメータがあります。
マイク/楽器:
このソースのマイク/楽器レベルを0〜100 dBに調整します。(BMD入力/出力デバイス用の設定です)
- オン:ソースのマイク/音源レベルを有効にします。
- 48V:入力にファンタム電源を有効にします。
録音レベル:ディスクに記録するレベルを制御します。スルーモードはトラックに影響しません。
- 録音ボタン:このボタンを有効にすると、トラックに録音する準備が整います。トラックにオーディオソースがパッチされている場合にのみオンにできます。(アームボタンと連動)
- スルー:ボタンを有効にすると、トラックに入力された信号をモニタリングしますが、記録はしません。トラックにオーディオソースがパッチされている場合にのみオンにできます。
トリム:チャンネルがミキサーに入るときのレベルをコントロールします。タイムライントラックの場合、ディスクの信号を制御し記録されているレベルは変化しません。
ダイレクト出力:チャンネルのダイレクト出力のレベルをコントロールします。
- オン:
ダイレクト出力のオン/オフを切り替えます。(このボタンがオンになっていないとパッチされていても出力されません) - プリ:
ダイレクト出力の接続をチャンネルフェーダーの前(プリ)か後(ポスト)の状態をトグルします。 - レベル:
フェーダーとは別にダイレクト出力のレベルを制御します。ノブをクリックするとデフォルトに戻ります。
インサート:インサートリターンを制御します。インサートを有効にするにはパッチされている必要があります。このボタンを有効にすると、チャンネルはインサートリターンに接続し、ストレートスルーパスに接続されます。インサート センドは常にアクティブです。
インサートセンドとリターンは、物理的な入出力や他のパスにパッチを当てるだけで聞こえます。
センドはシステムの他のパス入力に送信でき、リターンは他のパス出力またはセンドから受け取ることができ、「入力/出力のパッチ」で設定します。
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