2013年1月18日、富士ソフト アキバプラザ、アキバホールにてAutodesk Smoke2013 ラウンチセミナーが開催されました。
「小規模プロダクションにおける、新しい Smoke によるフィニッシング環境」のユーザー事例の進行を務めさせて頂きました。小規模プロダクションでいかに効果的にSmokeを使っていくかという提案です。
Khaki 水野 正毅氏と DEFENSE 格内俊輔氏の事例を紹介しています。Flameユーザーから見たSmoke2013の魅力を語って頂きました。
格内氏の所属するDEFENSEではSmokeカフェの様な構想もあるそうです。
格内:「最初はクラウド上で作業ができるかと思ったんですけど、日本ではまだ先取りしすぎたかなと…(笑)。あと、1、2年は事務所スタイルなのかと思います。普通に事務所を造ると面白くないんで、例えばワークシェアリングみたいな感じでMacBookProや、iMacを持ち寄ってSmoke2013の情報交換やスタッフの横のつながりができたら面白いと思っているんですよね。」
Autodesk Smokeって何?
Autodesk Smoke2013はポストプロダクションのツールとして広く利用されている、Autodesk Flame (Inferno) の流れを汲むツールです。 Smoke自体の歴史は古いのですが、昨年、大幅にユーザーインターフェースが変更されています。
Autodesk Flameとの違い
ポストプロダクションのFlameと何が違うのでしょうか?
単純に言うと、Autodesk Flame (Inferno) はハードウェアとソフトウェアがセットになったターンキーシステムでの販売です。
Smokeはソフトウェアパッケージのみで販売され、ハードウェアは使う側が選択できます。 ハードウェアは完全に切り離され、小規模プロダクションや個人でもスタジオと同等の機能を手に入れる事ができるようになりました。
ソフトウェア的な違いもあります。フレームに実装されスモークには無い機能がいくつかあり、例えば、3Dキーヤーやカメラトラッキング、サブスタンステクスチャーやモーフィング、パーティクルジェネレーター、オブジェクトの変形などはありません。(一部のテクスチャリングのツールやカメラプロジェクションもありません。)
(ワンショットでは他のツールが有効な場合もありますが)映像を編集、フィニッシングする際に必ずしもこれらすべての機能が必要という訳では無く、プロジェクトごとに使い分ける事で予算効果的に最大限に活用する事ができます。
Smokeには基本的な合成やカラーコレクション、エフェクト等のツールはすべて最初から入っています。
セッション1:Flameとの違い
水野氏、格内氏にFlameとSmokeの違いについて伺いました。
水野:「インポートが圧倒的に強いです。特にQuicktimeを立ち上げる事が多いのでデータを読み込む作業が多く、Smokeだと使う部分だけ切り出す事ができるので、初日の作業時間が3-4時間は違いますね。」
格内:「Macベースという事もありPhotoshopとかAfterEffectsとか、すぐ画面を切り替えて作業ができるというのも利点です。」
Flameではバッチという機能がありますが、CFXとの違いはどうですか?
水野:「変わっている印象はほぼ無いですね。3Dキーヤーやモーフィング等の一部機能がないだけでほぼ同じです。」
Smokeではその足りない機能をどう補うかだと思うのですが。
水野:「それはMacベースの強さだと思います。他にも色々すばらしいツールがあるので、Smokeの良い所はまさにハブになる部分で、ソフトインポートをする事でレンダリングをしたものを常にリンクを張っておけばすぐ反映されるので、別のアプリケーションとの親和性は意外に高いと思います。」
Flameではバックグラウンドレンダリングなどがありますが、スピード的な違いはありますか?
水野:「Linuxの最新版だとZ820なんですが、Z800より一個前の世代の感覚ですね、スピード的には。」
かなり近いって言う事ですね。
水野:「近いですね。HDでも全く問題なくリアルタイムで動きますので。」
Flameにはフィルムストリップに似たリールがありますが、Smokeのデスクトップの違いについてどう思いますか?
格内:「自分はリストで見ているタイプなんで…(笑)。本当は Smokeでもそれがあると良いんですけどね。」
Autodesk Flameとの共通点
Autodesk Flame20周年記念モデルではユーザーインターフェイスがSmoke 2013と共通化されています。
データの互換性もあり、Flame固有の機能はサポートされませんが、アーカイブデータをSmokeで読むこともでき、ポストプロダクション経験者には素晴らしい効果をもたらします。
MacOSXで動作すること
今までのオートデスクのシステム製品では、中間素材はDPXでしか生成されませんでした。Smoke2013では中間素材をProResにすることもでき、ProResのネイティブ対応でストレージに転送し、変換するといった作業を必要としません。
これはストレージの技術的な問題を解決し、従来より低速なレイド構成でも動作する事を意味します。非圧縮での運用はそれなりのストレージ構成を必要としますが…。
アーカイブをする場合もリンクファイルを選択することで容量を節約できます。
容量と時間は比例し、コストを生み出します。
さらに、MacOSXの豊富なアプリケーションを、同一のマシン上で使うことができ、別のマシンで作った素材を変換し、転送する必要が無くなります。
これはワンマンでオペレーション出来る事を意味します。
セッション2: MacOSXで動作することの利点
二人にMacである事の利点を伺いました。
格内:「やはり、同時にアプリケーションを切り替えて使える事ですね。1台のマシンでスムーズでシームレスに行えます。ローカルに素材があればFCPなどXMLでやり取りできて瞬時にコンフォームできますし。」
ThunderboltやUSB3.0といった転送レートの恩恵もありますよね。
水野:「今まで200~300万円したストレージがThunderboltで30万円くらい出せばDASで構成されているストレージを購入できます。非圧縮の10bitが余裕で動きますね。これは、かなり衝撃的でした。本当に机の上にちょんと置いているだけのディスクなんで。」
タイムマシンの利用も挙げられると思うのですが…。
水野:「本当に助けられましたね。バッチって言うものに惚れ込んでいたんで。それが2013になって出たというのがかなり衝撃的な事で。プレリリースは自己責任という事でかなり色々あったんですが、そのときにタイムマシンで戻れて何度か救われました。」
格内:「怖いもの知らずなんですけどね(笑。」
映像自体はスレージに入っているんですが、それを参照する部分はシステムディスクに入っているので、システムが救われるというのはかなり大きな点ですよね。
水野:「セットアップとか情報ファイルがMac本体に入っていて、これが2つ分かれているというのがリスクを分散する意味でも重要に感じましたね。」
格内:「ストレージを含めるとファイルが大きくなって、復帰に時間もかかりますしね。」
Smoke2013では、MacBook Proの動作環境もサポートされています。ラップトップでも動作する事は大きな利点です。
2013で何が変わったか?
新しくなったスモーク2013では、いったい何が変わったのでしょうか?
価格、ProResの利用、UIの改良に加え、CFX(コネクトエフエックス)の実装が挙げられます。CFXとはFlameでいうバッチに相当するもので、エフェクトを数珠つなぎにしていきます。いわゆるノードベースです。AfterEffectsを使われている方も多いと思いますがAfterEffectsはレイヤーベースです。
ノードとレイヤーの違い
ノードベースの利点はバージョニングです。
ある一点を変更したい場合、その部分だけを簡単に差し替えることが出来ます。
例えば、バックグラウンドは変更せずにテロップだけを差し替えたい、エフェクトを少し変えたい、もう少しキーの調整をしたいと言った場合、そのモジュールだけにアクセスすることができます。
CFXの中にアクションというモジュールがありますが、これはレイヤーベースの合成モジュールで、多重合成はこのモジュールを使用します。
これらのモジュールを繫ぎ1ショットを完成させていきます。
アーカイブ
作品は完成して全てが終わりではなく、突発的な直しや改訂、後で使うといった可能性のある場合、最終的にもとの素材、中間素材、最終的なカンパケなどを一カ所に集める必要があります。
これがアーカイブです。
プロジェクトごとにアーカイブを取ることが出来るので、作品の管理には有効的です、セットアップデータもタイムライン上のカットごとに存在するので、別の人に引き継いだりする場合にも効率的です。
続いて格内氏のデモンストレーションに移ります。
レポート2はこちら
レポート3はこちら
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