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映像制作とストレージ【2018年版】

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映像制作とストレージ

ストレージとは記憶装置のことです。映像制作では扱うデータの量が多く、4Kや8Kといった映像をリアルタイムに録画再生するには大容量とスピードが要求されます。

映像制作の場合、様々なメディアからコピーして高速なディスクで作業したのちバックアップする必要があります。ディスクは消耗品と考え、インターフェースとメディアの特徴を捉える事が重要です。

内部接続

デスクトップマシンであれば、内部にHDDやSSDを簡単に増設することが出来ます。内蔵のディスクはSATAもしくはSASで接続されています。SSDの場合はマザーボードにM.2端子がある場合、高速なNVMeのSSDを装着できます。

例えば自作マシンやサーバーなどの場合、インターフェース+スペース+電源容量があれば増設が可能です。Macでは現在、後から内蔵のディスクを増設できるマシンはほとんどありません。購入の際に必要なディスク容量を選択する必要があり、ドライブを増設するにはThinderboltのポートなどのポートを利用します。

SATA

シリアルATAの略で ATAから生まれた規格です。 信号帯域はSATA1.0で1.5Gb/s、 SATA2.0 で3Gb/s、 SATA3.0 で6Gb/sあります。SASに比べ大容量を安価に構成することが出来ます。

mSATAはM.2の前身で小型のPC用のSATA端子ですが、単独ではSATAの転送スピードを超えることはできません。その後に登場したSATA Expressは2つのPCI Expressレーンを持ち、大幅にスピードアップしています。PCI Express 2.0レーン接続の場合10Gb/s、PCI Express 3.0レーン接続の場合20Gb/sで接続できます。

M.2

M.2はmSATAの後継として開発された拡張端子で、SATA Expressの上位互換です。1つの端子に2つのタイプのインターフェースがあり、4つのPCI Expressレーンと1つのSATA 3.0 6Gb/sポートが使用でき、PCI Express 3.0×4接続では最大32Gb/sの転送帯域があります。

SSDの形式により異なりますが、高速なNVMeを使用する場合はPCI Expressレーンを使い接続します。PCI Expressレーンの速度はマザーボードのチップセットに依存するため、マシンにより速度が異なる場合があります。また、SATA接続の場合は速度に制限があることに注意してください。

U.2

U.2はSFF-8639コネクタで接続される2.5インチNVMe用の端子です。1つの端子に3つのタイプのインターフェースがあり、4つのPCI ExpressレーンとSAS/SATAを使用できます。U.2はM.2に変換できます。現在使用できるドライブは、データセンター用のドライブなどで、それほど多くはありません。

PCI Express接続

マザーボードにM.2端子が無い場合はPCI Expressスロットに直に接続するタイプのSSDがあります。PCI Express 3.0 x4のスロットに接続する場合が多く、スロットは占有しますがM.2のNVMe SSDと同程度の転送速度が期待できます。

PCI Express x16スロットを使い、4つのSSDをそれぞれのレーン(x4)に接続してレイドを作成するボードもあります。

SAS

シリアル アタッチド SCSIの略で、SCSIから生まれた規格です。 SASで3Gb/s、SAS 2で6Gb/s、SAS 3で12Gb/sの信号帯域があります。SASコネクターはSATAと互換性がありSATAディスクを接続することもできますが、その逆は出来ません。一般的にSASは高速ですがSATAに比べ容量は少なくコストは高くなります。

サーバーマシンに多く搭載されますが、HBA(ホストバスアダプタ)やレイドカードを追加してマルチレーンを構成することができます。内部接続で多段で構成する場合、電源容量に注意する必要があります。

メディア

HDD

インターフェースが高速になっても、メディア自体が低速だと全く意味がありません。HDDは容量は大きくなっても回転数に限界があるため、数年前と比べても大きな進化はなく、約80MB/s〜200MB/s程度のスピードしかありません。USB2.0では役不足ですが、USB3.0やSATA3で接続していれば十分です。外付けのドライブで「USB3.1で速い」と書かれているドライブでも、HDDの限界スピード以上にはなりません。

SSD

一方、SSDの場合はSATA3でインターフェース的に限界に達します。現在の2.5インチのSSDはほとんどがSATA3接続で600MB/sが限界です。一般的に容量が多いほど高速で、HDDと異なり書き込み回数に制限があります。

SLCやMLCといった言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、1つのセルにいくつの情報を記録するかを表しています。SLC(シングル)、MLC(マルチ) 、TLC(トリプル)、QLC(クアッド)で多くなるほど製造コストが低くなり安くなりますが、耐久性が落ちます。

外部接続

Macやノートブックのように内部にストレージを増設できない時があります。 高速で大容量のディスクが必要になったり、装置を簡単に取り外し可能な状態にしたい場合は外部ストレージを接続する必要があります。一般的に、USB、Thunderbolt 、SAS、FiberChannel などで接続し、本体に接続ポートがない場合はインターフェースカードを増設し、ポートを増やす必要があります。

インターフェースが高速でも、ドライブのスピードが低速だったり、ケーブルにより速度が変わるときがあるので注意が必要です。

USB

ユニバーサル・シリアル・バスの略です。ストレージだけでなく様々な機器に接続できる端子です。USB 1.1 で最大12Mb/s (1.5MB/s)、USB 2.0で480Mb/s (60MB/s)、USB 3.0(USB 3.1 Gen1)で5.0Gb/s (625MB/s)、USB 3.1 Gen2で10Gb/s (1,250MB/s)、USB 3.2ではデュアルレーンで20Gb/sの信号帯域があります。

上位の端子に下位を差すことは可能ですが、転送スピードは下位に固定されます。USB 3.1からはUSB Type-Cのコネクタが採用されThunderbolt 3と同じ形状の端子が使用できます。同じUSB Type-Cでも接続先によってはスピードが変わることに注意してください。

NVMe(M-Keyタイプ)のSSDをUSB 3.1対応のエンクロージャーで接続すると、1GB/s超えを実現できます。

Firewire

Thunderboltの登場で今ではほとんど市場にありません。正式規格はIEEE 1394で、後にAppleによるFirewireという呼称が正式採用されました。(SonyではiLinkと呼ばれています)IEEE 1394a(Firewire400)は400Mb/s、 IEEE 1394b(Firewire800)は800Mb/sの信号帯域があります。DV、HDV、DVCPRO HDなどの映像信号とコントロール信号の送受信が可能で、多くの編集ソフトウェアで追加機材なしにキャプチャーすることができました。IEEE 1394aでは4pinもしくは6pinのケーブル、 IEEE 1394bでは9pinのケーブルで接続します。

Thunderbolt

ThunderboltはIntelとAppleが共同で開発した高速データ転送技術です。 開発時「Light Peak」と呼ばれ、光ファイバーを用いた技術でした。AppleがMini Display Portと銅線を利用して実装しThunderboltと名付けています。10Gb/s双方向2チャンネルの信号帯域があり、1チャンネルをDisplayPortとして用い、もう片方をPCI Expressとして動作させます。Mini DisplayPortと同じ形状の端子で接続し、最大6台までのデイジーチェーンで接続できて汎用性の高いポート技術です。

Thunderbolt 2は今までの2つのレーンを1つにまとめ、20Gb/s双方向の信号帯域を確保し、従来のThunderboltとの互換性を維持して同じケーブルが利用できます。光ファイバーケーブルも利用できますが、その場合は電源は供給されません。

Thunderbolt 3ではUSB Type-C形状のポートが採用され、最大40Gb/s双方向の信号帯域があります。USBと同じ形状ですが、Thunderboltとして使用するには専用のThunderbolt 3ケーブルが必要です。さらに最大の40Gb/sで利用するには1m未満のパッシブケーブルか、アクティブケーブルで接続します。

Thuderbolt接続はストレージだけに留まらず、ディスプレイの接続やネットワークアダプタなども接続できます。PCIeの拡張シャーシを取り付けることで外部GPUを装着できるようにもなります。この場合、最大でPCI Expressレーンx4に限定されます。

Thunderbolt同士を直に繋ぎ、ピアツーピアでネットワークワーク接続することもできます。(IP over Thunderbolt)この場合、10GbEとして接続されます。

eSATA

eSATAとはエクスターナル シリアル ATAの略でSATAの外部接続規格です。内部接続のSATAと端子形状が違います(SATAはL型、eSATAはI型)。

ディスクやインターフェースのスピードが対応していれば、SATAと同じく1.5Gb/s、3.0Gb/sおよび6.0Gb/sの信号帯域で動作します。 単体ディスクの場合ではUSBに比べにアクセスが高速です。

また、ポートマルチプライヤに対応している場合、ケーブル1本で複数HDD(1ポート5台まで)が接続でき、対応した多段ケースが使用可能になります。(デバイス側とホスト側の両方が対応している必要があります。)構成自体は安価ですが、RAIDにした場合は外部SAS接続の方が高速で安定した運用ができます。 SAS接続にくらべ端子が抜けやすいので注意が必要です。

外部SAS接続

外部SAS接続の場合マルチレーンを使用し、ハードウェアレイドもしくはJBODエンクロージャーに直接接続します。 マルチレーンでは1本のケーブル(SFF8088やSFF-8644のMiniSASケーブル)でデバイスと接続し、一度に複数の信号を同時に転送することができます。さらにSASエキスパンダを接続することで、より多くのデバイスを接続することが可能です。

一般的にSAS/SATAインターフェースカードにはストレージに高速に接続するためのRAIDコントローラーが搭載されています。対応するエンクロージャーがハードウエアレイドでない場合、RAIDカードによってレイドレベルが制限されます。 内蔵のSASと同じくSATAディスクを使用することも可能です。 FiberChannelによるドライブ構成に比べ安価に構成することが出来ます。

Thunderboltを接続できない場合やそれを超えるスピードで高速なDASを構成する場合に最も手軽で有効な手段です。

FiberChannel

ファイバーチャネルは光ファイバーもしくは銅線でストレージに接続されます。現在は8Gb、16Gb、32Gbの製品が主流です。光ファイバーを利用することで長距離を伝送することが出来るようになり、FC対応のドライブと1対1で直接接続するとSCSIディスクアレイのように動作させることが出来ます。

大規模なストレージをエリアごとに分散させるためにFCスイッチとメタデータコントローラーを導入し、SANなどのネットワークストレージでの運用をすることも可能です。

InfiniBand

インフィニバンドはハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)でノード間接続などに使用されるインターフェイスです。コンピュータ同士を直に繋ぐ技術で、4x EDRでは100Gb/sに達します。

現在では物理的なインフィニバンドのHBAやスイッチをイーサネットに転用し、100/50/25Gb/sのネットワークを構築する事もできます。

直接接続とネットワーク接続

DAS(直接接続)

ダイレクト アタッチド ストレージの略で、ストレージを直接1対1で接続する方法です。長距離で延長することが出来ないため本体の近くにストレージを設置する必要があります。

高速で大容量のストレージ領域を構成するためにはRAIDを組む場合が一般的で、NASやSANと比べて比較的低価格で構成することができます。

ネットワーク構成は含まれないため、共有ストレージとして利用するには、共有ボリュームとして接続するか別途NASやSANを構成する必要があります。

Thunderboltを利用したDASの場合は、物理的に切り離し、他のマシンに比較的容易に再接続できます。

NAS(ネットワーク接続)

NASとはネットワーク アタッチド ストレージの略です。ストレージのファイルシステムやRAIDの有無に関わらず、TCP/IPのネットワークプロトコルを使用したファイル共有ストレージを指します。

いわゆるファイルサーバーですが、サーバーとストレージが一体化した物を指す場合が多いようです。転送スピードはディスク構成とネットワークスピードに依存し、サーバーのストレージ構成が高速で安定性が高ければ、ネットワークやプロトコルによる遅延の方が問題になります。

低価格のNASの場合、多同時接続では急激にスループットが落ちる場合があります。比較的安価に利用できるようになった10GbEポートのネットワーク接続でボトルネックを解消する方向に進んでいます。 バックアップや多接続など目的によってNASの構成は変わります。

小中規模で複数人でファイルシェアして使用する場合に便利です。最近ではファイル共有だけでなく、多彩な機能があります。

SAN(ネットワーク接続)

SANとはストレージ エリア ネットワークです。IPネットワークと分離したデータ専用のストレージネットワークのことを指します。 一般的に中〜大規模なシステムで使用します。

FC−SANと呼ばれるSANは主にFiber channelで接続し、スイッチを使用して相互接続します。

IP−SANと呼ばれるSANは既存のイーサネットインターフェースを利用します。iSCSIと言われるプロトコルではSCSIデータをパケット化しTCP/IPで伝送します。iSCSIではストレージ側をターゲット、PC(ホスト)側をイニシエーターと呼び、接続した後にストレージはローカルディスクのように動作します。

SANで複数同時アクセスでファイル共有する場合は、XSANやStorNext等のSANファイルシステムが使用されます。

シェアドストレージサーバー

ファイル共有を行うにはSANやNASのようなシステムが必要ですが、必ずしも映像制作に最適化されているわけではありません。シェアドストレージサーバーは複数人でファイルをシェアして作業を効率化するために特別に設計されたストレージです。

接続方法はさまざまで、最適化されているアプリケーションも異なります。一般的に、使いやすいGUIの管理画面があり、ネットワークやファイルシステムに関して専門の技術者がいなくても管理できるように設計され、集中してマネージメントできます。

特に大容量のデータを転送するための最適化が行われ、多数のアクセスがあった場合でも再生する帯域をを維持することが大きな特徴です。

クラウドストレージ

高速なインターネット接続が必要ですが、遠隔地との共同作業やバックアップのためにクラウドにあるストレージを利用することができます。各サービスにより異なりますが、自動的なトランスコードやAIを使用した解析サービスなどの機能を利用する事もできます。

例えば、MicrosoftのAzureではAVID Media Centralと提携したり、AmazonではThinkbox Softwareとの統合でDeadlineを使用したり、IBM CloudではWatsonを利用したメタデータの自動抽出や、Google Cloud platformではZyncの統合など、ストレージとしての用途だけでなく付帯的なサービスも選択できます。

また、VMを利用して作業を自動化したり、遠隔地との協同作業にも威力を発揮します。

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