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Blackmagic Design HyperDeck Studio 詳細レビュー

 

これは素晴らしい一台です。 テーブデッキに変わる新しい可能性を秘めています。 HyperDeck StudioはSSDを使用した10bitの非圧縮およびDNxHD(MXF)でのレコーディングが収録可能な放送用デッキです。アンパッキングから実際の使用までレビューします。

 


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アンパッキング!

 

8万円を切っています!ブルーレイディスクレコーダーを買うような値段で非圧縮ビデオレコーダーが買えるなんて夢のような話じゃありませんか!十数年前にAccomのWSDに1枚1枚NTSCのビデオデータを書き込んでいた時代に比べれば限りなく未来です!

 

1Uのラックマウントデザインです。楽に持ち帰り出来るサイズと重さです。


全面にはLCDモニタージョグシャトル、12個のボタンとデュアルのSSDスロットを備えています。

簡単なマニュアルとドライバーディスクが挿入されています。最新のドライバーはダウンロードが可能です。本体下には国際アダプター付き12v国際対応電源が入っています。気になったのがSSDの挿入部分にカバーがないことで、埃が気になる場合は安いSSDでも刺しっぱなしにしておいたほうがいいかもしれません。

記録はSSDに!

 

SSDはBlackMagicの推奨しているディスク以外では動作が保証されません。(ディスクスピードや書き込み時の圧縮など)今回はOCZ VERTEX3 240GBを使用します。

推奨ディスクは以下のようです。(2012年2月9日時点)
承認され次第サポートページで公開されます。

  • OCZ 240GB Vertex 3
  • OCZ 480GB Vertex 3
  • Crucial 256GB C300
  • Crucial 512GB M4 (firmware 009)
  • Kingston 64GB SSDNow V+
  • Kingston 128GB SSDNow V+

 

SSDはHFS+でフォーマットされている必要があります。Macの場合ディスクユーティリティでフォーマット(MacOS拡張ジャーナリング)し、Windowsの場合MacDriveなどでフォーマットします。このOCZ VERTEX3、公称では読込・書込速度とも、最大500MB/s以上!ただしSATA6G接続で、マザーも縛りが有るようです。 HyperDeckの内部は3G接続らしいのでそこまでは出ないのですが、それでも早いです。

ASKさんの製品情報

SATA接続の場合、非圧縮の記録時間とほぼ同じ時間でPCにコピー出来るようになります。接続する際は、eSATAもしくはUSB3.0で接続してください。いくら速いSSDでも、USB2.0で接続するとこんなことになっちゃいます。

?eSATAもしくはUSB3.0接続のクレードルがあると非常に便利な気がします。お立ち台とか…。MacProの内蔵に直挿しした場合ライト225MB/s、リード260MB/sくらい出てました。1080 60pには足りないくらいです。

ちなみに作業用RAIDはこんな感じ。もうスピードはSSDで足りちゃいそうです…。

フロントパネル

 

SSD挿入部は記録時には赤色、再生時は緑で点灯し、再生時には右廻り、巻き戻し時には左廻りにライトが回転します。(再生スピードごとに可変します!)シンプルにまとめられているにも関わらず、一般的な放送用、業務用のビデオデッキとしての機能はほぼ備わっています。

1. DISP:現在使用出来ません。(ソフトウェアアップデートで有効化)

2. 前のクリップ:1度押すとクリップの先頭。2度押すと1つ前のクリップの先頭に移動

3. レコード;再生中でも瞬時にレコードが開始出来ます。フレームドロップが発生している場合点滅します。もう片方のSSDに切り替える場合は1秒間押し続けます。

4. 次のクリップ:次のクリップに移動します。

5. インプット:停止中にHDMIとSDIを切り替えます。記録中には変えられません。

6. リモート:RS-422リモートボタン

7. SET:現在使用出来ません。(ソフトウェアアップデートで有効化)

8. 巻き戻し:1度押すことで逆再生。再び押すことで2x、4x、8x。16x。倍数はディスプレイされます。

9. 再生:クリップを再生します。

10. 早送り: 1度押すことで2xで再生。再び押すことで4x、8x。16x。倍数はディスプレイされます。

11. ストップ:停止します。

12. ジョグ:一度押すとジョグモード、再度押すとシャトルモードに切り替わります。シャトルモードでは1/4、1/2、3/4、x1〜x16まで1倍刻みで可変します。

LCDディスプレイ:これは非常に便利です!再生状態、フォーマット、SSDスロット、タイムコード、音声レベル、ビデオプレビュー、記録時間残数などを表示します。このLCDモニターがなければ操作感はかなり違っていたと思います。

ジョグダイアル:ジョグでもシャトルでもスルーで回転します。結構軽く、クリック感はないです。

 

リアパネル

 

DC12V電源:BMDさんらしく、電源スイッチはないです。

リモート端子:SONY互換のRS-422リモート端子です。マニュアルの最後にコマンドとディベロッパーへのインフォメーションがあります。『後はよろしく!』といった感じでしょうか。

イーサネット端子:現在使用出来ません。(ソフトウェアアップデートで有効化)

SD/HD-SDI IN: SDIの入力端子です。

SD/HD-SDI ループスルー: SDIの入力端子のループスルーです。

SD/HD-SDI OUT: SDIの出力端子です。2系統あります。

SD/HD-SDI MON: SDIのモニターアウトです。

REF IN:リファレンス入力。シンクジェネレーターと接続します。

HDMI IN:HDMI出力機器と接続します。

HDMI OUT:HDMIモニターや HDMI入力機器と接続します。

USB:ミニタイプのUSB2.0端子です。HyperDeck ユーティリティを使う場合に接続します。

HyperDeck ユーティリティ

 


ユーティリティはBlackMagicのサイトからダウンロード出来ます。機能が追加された場合USBを接続しファームウェアをアップデートします。(アップデート中はケーブルを抜かないでください。)
2.0ではDNxHDのレコーディングに対応しました。DNxHDと非圧縮の切り替えはHyperDeckユーティリティを使用します。

クリップの記録(録画)

 

SDIもしくはHDMIから入力された信号が下記のフォーマットに適合した場合、レコードボタンを押すことでクリップの記録をすることが出来ます。注意点は、クリップの記録時に記録フォーマットが変わってしまうと以前に記録した別フォーマットのクリップがHyperDeckで再生出来なくなります。(消える訳ではないのでPCでは確認可能です。)

記録フォーマットは以下のようになります。

SD 非圧縮10bit (mov)のみ

625/25 PAL
525/29.97 NTSC
(480p60と576p50はHDMIのみ)
HyperDeckユーティリティでDNxHDの状態であってもSDは非圧縮で記録されます。

HD 非圧縮10bit (mov)、DNxHD10bit (mxf)

720p50
720p59.94
720p60

1080i50
1080i59.94
1080i60

1080PsF23.98
1080PsF24
1080PsF25
1080PsF29.97
1080PsF30

1080p23.98
1080p24
1080p25
1080p29.97
1080p30

ディスクスピードの問題からか、60Pの記録は出来ません。(1秒間に30枚が限度ということでしょうか。)また、HyperDeck Studioを使ってのクリップの操作(消去、並べ替え、名前の変更など)は出来ません。

記録時間

 

OCZ 240GB Vertex 3での記録時間です。

非圧縮の場合
NTSC 約130分
720P60  約26分
1080i29.97 約23分
1080i29.97 約23分
1080sf23.98 約28分
1080p24 約28分

DNxHDの場合
NTSC 約130分(非圧縮)
720P60  約132分
1080i29.97 約132分
1080p30 約132分
1080sf23.98 約162分
1080p24 約162分

NTSCは非圧縮なので130分。24コマの場合は約1.2倍収録時間が増える計算になります。

ここで特筆したいことは、非圧縮で23分程度だったものがDNxHDの場合2時間ちょっと記録出来るという点です。スタジオの収録などでサブで回しっぱなしとか余裕で出来るレベルです。さらにPCにコピー時には25分程度しかかかりません。2時間収録したものが2時間コピーにかかっていたらロスでかつ使い回しができません。DNxHDがデフォになる予感がします…。

DNxHD (MXF)での収録

 

非圧縮のmovはQuicktimeがあれば見たり編集することが可能ですが、DNxHDの場合PC、Macいずれの場合もそのまま見ることは出来ません。(非圧縮の場合もBlackmagicのコーデックは必要ですが、ドライバー導入時に自動的に入るので問題有りません)

メディアの確認にはMediainfoが便利です。


どのようにラッピングされ圧縮されているかが解ります。何のムービーファイルか解らない場合もこのツールで調べることが出来ます。VideoのVC-3がDNxHDになりSMPTEで規格された名称です。

MXFとは、マテリアルエクスチェンジフォーマットの略で、SMPTEで規格されたコンテナフォーマットです。いわゆるラッパーで包み紙みたいなものです。その中に圧縮されたDNxHDのムービーファイルがあると思ってください。DNxHDは圧縮フォーマットでProResやMPEGとかと似たコーデックの一種です。

単純にPCおよびMacにDNxHDのコーデックを入れたい場合、AVIDからコーデックのダウンロードが出来ます。

Avid QuickTime Codecs LE 2.3.4 のダウンロード (MC5.5ベース)

Avid Codec 2.3.7 ダウンロード(lion対応 MC6ベース)

このコーデックの導入でQuicktimeDNxHDで圧縮された映像を読み書きすることが出来るようになります。

ただし、HyperDeckの収録では、同じDNxHDでもMXF形式にラッピングされています。Quicktimeで読むにはアンラップしてMUXしてリラップして…という行程が必要なのですが、まあこれは別の話で…。

DaVinci Resolve(Lite含む)では読めます。そのまま読めます。SSDからコピーせずに(安全上コピーした方がいいのですが…)プリファレンスからメディアストレージボリュームを選択すれば読み込むことが可能で、そのまますぐにグレーディングできます。

AVID MEDIA COMPOSERで読み込む

 

一方、DNxHDの開発および提供元のAVIDで読むには若干の手順が必要になります。

MCをインストールしてあるとMXFがデフォルトでAVIDになっているかもしれません。そのままダブルクリックしてみると…

?開けませんと怒られます。

?AMAボリュームとしてリンクしてみても…

?MOVしか読み込まれません…
じゃあ、AMAファイルとしてリンクしようとしても…

AMAのプラグインを探してこいって…ほとんど入ってるんですけど…(ちなみにプラグインが入っているかどうかはコンソールでAMA_ListPluginsで出てきます。)

?で、コンソールのエラーがMXFのファイルのヘッダーに…「IkegamiやTOSHIBAじゃなくてBlackmagicDesignってあるんだけど誰それ?」って書いてある。Binにドラッグアンドドロップもだめだし、インポートでも行かないし…

なんと!基本的なことでした。
AVIDのファイルそのままだったんです。AVID
ではキャプチャリングした素材をAvid MediaFilesの中に保存します。その保存形式を周到し『キャプチャリングされたディスク』として認識させます。SSD上で作業する場合、Avid MediaFilesを作成し、その中にMXF、で数字フォルダを作成しファイルをドラッグアンドドロップします。(Avid MediaFilesが他のディスクに有る場合はそこにフォルダを作成し同じように操作します。)

メニューのツールのメディアツールから対応するドライブとプロジェクトを選択します。

メニューのツールのメディアツールから対応するドライブとプロジェクトを選択します。

?メディアツールに読み込まれます。これをビンにドラッグしすぐに編集することが可能です。

 

?HyperDeck ShuttleおよびStudioで収録した素材を次々に送り出すことで、そのまま何の変換もいらずにAVIDで編集出来ることになります!なんか昔、IkegamiとAVIDが協業したEdicamを思い出しました…。

テープデッキの代替として利用する。

 

本機にはSONY互換、RS-422リモート(9ピン リモート)が付いています。フレーム精度で動作し、正確な編集をする場合には必須です。放送用編集機器にはほぼ全てに装備され、業務用機器でも上位機種には実装されています。テープの場合、2台のデッキを同期させるためにプリロールが必要ですが、SSDのため巻き戻す必要はありません。CUEポイントに行く場合も一瞬です。

ノンリニアでテープデッキとして使う場合の設定はキャプチャリングカードと編集ソフトウェアに依存します。キャプチャリングカードがAJAの場合、設定はAJAコントロールパネルで入出力はVTR Exchangeを使います。BlackMagicの場合、設定はDesktopVideoで行い入出力はMedia Expressを使用します。AVIDではOpen/IOを採用し、上記サードパーティーの機器も使用出来るようになりました。

FCPXもそうですが、現在の流れとして『インジェストやプリントは編集と別』な方向に進んでいるような気がします。うまく機能するようになれば、今まで連番で書き出してスタジオに入り、テープにレコーディングしていたものが、単純にテープtoテープでコピーしている感覚でプリント出来るようになるかもしれません。

現状ではTCを書き換えたり、アッセンブルやインサートレコーディングすることは出来ず、クラッシュレックするしかありません。

今までの業務用のハードディスクレコーダーは大規模なRAIDを組んで運用するしかなく可搬性もありませんでした。 ブルーレイディスクレコーダーを買うような値段で非圧縮ディスクレコーダーが買えるとは、とても素晴らしい時代です。

 

 

 

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