オーディオとビデオの同期
オーディオとビデオを別々に記録している場合の同期方法です。
外部録音を行う場合
カメラマイクや外部入力端子で同時録音している場合には必要ありませんが、別撮りしている場合は同期の作業が必要です。
一般的にセリフやインタビューなど高音質で録音したい場合はマイクを別途用意して外部録音を行います。映画やドラマなどでは撮影部と別に録音部があり、シチュエーションに合わせマイクを選び最適な状態で録音を行います。
カメラマイクは周囲の雑感を収録する場合は便利ですが、インタビューやセリフなど明瞭な音声が必要な場合には不向きです。カメラを操作する際のタッチノイズやカメラと話者の距離や指向性も問題になるケースもあります。外部入力端子を使用した録音もカメラの機動性を損ないます。
デイリーと呼ばれる一連の作業では、別々に収録された音声と映像を同期し、メタデータを整理してRAWやLogで収録された素材を通常にモニタリングできるようにノーマライズします。
音声とビデオの同期にはいくつかの方法があり、DaVinci Resolveでは「タイムコードを使用した自動同期」「波形による同期」「手動による同期」が使用できます。
タイムコードを使用した自動同期
タイムコードを使用した音声と映像の同期は、確実性があり、作業を素早く開始することができるため、業務で使う場合に最もポピュラーな方法です。ただし、収録の段階で必ずカメラとオーディオレコーダのタイムコードを一致させる必要があります。
プロフェッショナルカメラの場合は外部からタイムコードを入力する端子があります。常にタイムコードを供給していなくても内部のTCとロックし、シンクして保持する機能のある場合もあります。(ジャムシンク)
一般的にタイムコードを生成(ジェネレート)する側を「マスター」シンクロする側を「スレーブ」と呼びます。
Timecode Systems
Timecode Systems社のシステムはワイヤレスでタイムコードを供給し同期します。小型の「UltraSync ONE」はタイムコード、ゲンロック、ワードクロックの生成とそれらの無線経由での送出が可能です。
Tentacle Sync
Tentacle Syncは小型のオーディオトラックを使用したタイムコードの供給デバイスです。DSLRのようなタイムコード入力の無いシステムでも使用できます。
Ambient Lockit
「MasterLockit」をハブとしてワイヤレスで同期するシステムです。「MasterLockitPlus」ではZEISSのCP.3レンズに接続し、PomfortのDITツールとワイヤレスで通信できます。フレーム単位でタイムコードに同期しレンズ設定を記録できます。
また、LockitScriptアプリケーションを使い、コンテンツメタデータの収集が行えます。ARRIのカメラなどハイエンドのカメラと親和性の高いシステムです。
小型のワイヤレスで運用できるジェネレーターと同期システムを持つ「NanoLockit」もあります。
オーディオからタイムコード(LTC)を更新
一部のカメラには、外部タイムコードソースと同期する機能がありません。外部生成されたタイムコードをカメラのオーディオ入力に接続することでタイムコードとして読み取る事ができます。
メディアプールでクリップを選択し右クリックで「オーディオからタイムコードを更新 – LTC」を選択するとオーディオをLTCとしてタイムコードに変換して即座に更新します。
タイムコードに基づいて同期
カメラとオーディオレコーダの双方で同期したタイムコードを使用すると、自動で同期できます。 まず、メディアプールのビンにビデオを読み込み、同じビンもしくはビデオのあるビンの中に作成したオーディオ用のビンにタイムコードのメタデータを持つブロードキャスト.wavファイルをインポートします。
ビンまたは選択したクリップを右クリックし「オーディオの自動同期」からコマンドを選択すると、タイムコードを元に自動同期します。
- 「タイムコードに基づいて同期してトラックを置き換え」
ビデオのオーディオチャンネルを、同期した.wavファイルのオーディオチャンネルに置き換えます。
- 「タイムコードに基づいて同期してトラックを追加」
ビデオのオーディオを維持し、同期した.wavファイルのオーディオチャンネルを新しいトラックに追加します。
注:重複するタイムコードがある場合は一致しないオーディオがリンクされる可能性があります。
クリップメタデータの「サウンドロール番号」に同期したオーディオ名が表示されます。リンク元のオーディオファイルを探すには、クリップを右クリックして「同期オーディオをメディアプールで表示」を選択します。
同期したオーディオは「クリップ属性」>「音声」>「ソースチャンネル」に「リンクチャンネル」として表示されます。「エンベデッド」で元のオーディオに戻ります。
波形によるオーディオとビデオの同期
カメラマイクで収録したオーディオと別撮りしたオーディオレコーダの音の波形を元にして同期できます。
カメラマイクで周囲の音を録音し、オーディオレコーダに同じ音が収録されている場合に有効です。手軽に同期できますが、カメラマイクが無効の場合や波形で解析できない場合は同期ができません。
ドキュメンタリーや少人数での収録で、カメラマイクと別にオーディオレコーダを使い収録する場合に使います。
メディアプールにオーディオとビデオを読み込み、ビンまたは選択したクリップを右クリックし「オーディオの自動同期」からコマンドを選択します。
- 「波形に基づいて同期」
クリップの波形を分析して比較し、ビデオのオーディオチャンネルを、同期した.wavファイルのオーディオチャンネルに置き換えます。
- 「波形に基づいて同期してトラックを追加」
クリップの波形を分析して比較し、ビデオのオーディオを維持したまま、同期した.wavファイルのオーディオチャンネルを新しいトラックに追加します。
タイムコードを使用した自動同期のようにオーディオとビデオのビンを分ける必要はありません。ビンを分割している場合は、Ctrl/Commandキーを押しながらビンを選択し、Ctrl/Command + Aで全てを選択します。
比較する対象が明確な場合は、個別にクリップを選択すると素早く同期できます。
手動によるオーディオとビデオの同期
手動で同期するにはオーディオをビデオの同期ポイントが必要です。
オーソドックスな手法ですが、クラッパーボード(カチンコやボールドとも呼ばれます)やスレートアプリケーションを使う事で明確な同期ポイントを見つける事ができます。
クラッパーボードにシーンやテイクなどの情報を記入しておくと、視覚的なショットの情報を得ることもできるため、メタデータの入力を補助できます。
「タイムコード」や「波形による同期」の不具合のためのバックアップにも使用されます。タイムコード表示が可能なスレートを使用すると、複数のカメラの同期に使用することもできます。
Movie Slate
iPad iPhone用のスレートアプリケーションです。ショットログを残したり、Pro用のアドオンではカメラメタデータのコントロールやタイムコードの同期なども使用できます。
手動でオーディオとビデオを同期するには、ビデオとオーディオをメディアプールに読み込み、オーディオパネルの「波形」ボタンをクリックします。
ビデオクリップを選択してビューアの再生ヘッドで同期点を探し、次にオーディオクリップを選択してオーディオパネルでオーディオの同期点を探します。
クラッパーボードでは、音の鳴る瞬間とボードを打った瞬間(デジタルクラッパーを使用している場合は画面がフラッシュした瞬間)の映像を合わせます。
オーディオパネルの右下の同期リンクボタンをクリックして同期をロックします。
同期したクリップのオフセット
同期したオーディオをずらす必要がある場合は、ビデオクリップを選択し、オーディオパネルの「波形」ボタンをクリックしてリンクボタンをオフにした状態で同期点を変更します。
変更後に再びリンクボタンを押して同期します。
コマンドやショートカットを使用できます。
- 「トリム」>「音声のスリップ」>「1フレーム先へ」:Alt/Option + ピリオド
- 「トリム」>「音声のスリップ」>「1フレーム前へ」:Alt/Option + コンマ
- 「トリム」>「音声のスリップ」>「1サブフレーム先へ」:Alt/Option + 右矢印
- 「トリム」>「音声のスリップ」>「1サブフレーム前へ」:Alt/Option + 左矢印
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