ラウドネスメーターとノーマライズ
ラウドネスとは
ラウドネス(loudness)とは音の大きさのことです。ヒトの聴覚が感じる音の強さは感覚量で相対的です。物理的な音圧レベルだけでなく、ヒトの聴覚の感度(周波数)を考慮に入れてラウドネスが計算されます。
なんでラウドネスの計測が必要なの?
Webの動画やゲームで、音が大きかったり小さかったりしてボリュームを調整した事はありませんか?音量にばらつきがあるとボリュームの操作が必要となり、ユーザーエクスペリエンスが失われます。ラウドネスを測定し、適切なリスニング環境を作る必要があります。
スマートフォン向けアプリ、ゲームの音量差がありすぎる問題について考える。ラウドネス基準はどうなるのか。
LUFS/LKFS…ラウドネスメーターについて復習して理解を深めよう
テレビやラジオの場合、QC(品質管理)としてラウドネスの計測が義務付けられています。
Fairlightページのラウドネスメーター
ラウドネスメーターは2つのグラフィカルメーターと数値のセットで構成されています。
このメーターでミックス全体の 「インテグレーテッド ラウドネス」を分析することができます。ラウドネスメーターはLU(ラウドネス ユニット)で測定し分析を行います。
LUって何?
LU(ラウドネス ユニット)の値は、人が実際に知覚できる音量の差を表します。(1LU は 1dB と同値)
ラウドネスメーターオプション
「プロジェクト設定」の「一般オプション」にある2つのオプションで、ラウドネスメーターをカスタマイズできます。
ターゲットラウドネスレベル:
ラウドネス測定の基準レベルとして使用されるLUFS値を設定します。デフォルトは-23 LUFSです。(日本の放送でのターゲットレベルは-24 LUFS)
ラウドネススケール:
メーターの測定に使用するスケールを選択できます。オプションにはデフォルトの「EBU +9スケール」(-18〜+ 9)と「EBU + 18スケール」(-36〜+ 18)があります。
グラフィカルラウドネスメーター
2つのメーターは、ITU-R BS.1770-3およびEBU R128標準に従いモニタリングし、選択されたバスをグラフィカルに表示してラウドネスを測定します。
M(モーメンタリー:瞬間的)メーターには、モニターしているバスと同じ数のチャンネルがあります。(ラウドネスの測定には含まれないサラウンドフォーマットのLFEチャンネルは除かれます)
このメーターは400ms の範囲で100ms ごとにLEQ(equivalent sound level:等価音量)を測定し、再生中に現在のフレームでのミックスのLUFS(Loudness Units Full Scale)レベルを評価します。
右側のモノラルメーターには、Mメーターのすべてのチャンネルの合計が表示され、LU(ラウドネス単位)で表示されます。
このメーターの上部に表示されている数値は、タイムラインの再生中に解析されたLUの最大値です。この値は、ラウドネスメーターの下部にあるリセットボタンをクリックするか、「再生/停止とリンクして測定」オプションをチェックし、再生を停止してから再度開始するまで保持されます。
数値ラウドネスメーター
メーターの右側にある数値のセットは、ミックスのオーディオレベルに関するレポートが表示されます。グラフィカルメーターは作業中にミックスを分析するのに便利ですが、これらの数値は、QC(品質管理)でデータを記載する場合に役に立ちます。
- ショート:
再生ヘッドに続く30秒間の平均LUレベルを測定します。 - ショート最大:
ショートと同じ30秒間の最大レベルを表示します。この分析はEBU R128で必要となります。 - レンジ:
ミックスのラウドネスのダイナミックレンジを測定します。ミックスの再生範囲全体のラウドネスを分析し、ラウドネスが低い10% の部分と、ラウドネスが⾼い5% の部分を差し引き、分析された残りのソフトレベルとラウドレベルの差を計算します。分析の範囲は再生している間に限られます。この分析はほとんどのQCで必要です。 - ロング(ロングターム、インテグレーテッド):
ミックスの再生した範囲のLUFS値を測定します。再生すると積算値が累積します。この分析はほとんどのQCで必要です。
ラウドネスの測定
QCに必要なラウドネスを測定する場合は、プログラムの全てを通して計測しなければなりません。
「再生/停止とリンクして測定」(Lock Metering to Transport)
この設定はメーターのオプションメニューにあります。これを有効にすると、再生ヘッドがタイムラインの別の場所に移動するたびに、すべてのラウドネス測定の分析が自動的にリセットされます。ミックスのさまざまな部分を特定したり、特定のシーンで作業しているときに便利です。
ポーズとリセットボタン:
正式なミックスの分析を行っているときに、リセットボタンを押すと現在蓄積されているすべての分析がリセットされ、スタートボタンでラウドネス値の蓄積が開始されます。
他の操作を行うために再生を一時停止する必要がある場合は、「停止」をクリックします。分析を続行する準備ができたら「再開」をクリックします。
オーディオレベルのノーマライズ
「オーディオレベルをノーマライズ」は、特定のターゲットレベル(dBFS単位)でピークに達するクリップのレベルを自動的に調整します。これは音量調整だけでダイナミクスは適用されません。このコマンドを使用すると、選択した各クリップの最も大きな部分がターゲットレベルで一致します。このコマンドは、編集ページでも使用できます。
以下の方法でオーディオクリップをノーマライズします
選択したクリップを右クリックして、「オーディオレベルをノーマライズ」を選択します。
ダイアログが表示され、選択したクリップの基準になる「ピークレベル」を設定します。
複数のクリップを選択し「オーディオレベルをノーマライズ」を適用した場合は、2つのオプションが表示されます。
「相対」(Relative)に設定すると、すべてのクリップが1つのクリップのように扱われ、選択されたクリップの最大のピークレベルが調整を定義する値に使用され、選択したすべてのクリップの音量が同じ量で調整されます。
「個別」(Independent)に設定すると、各クリップのピークレベルがそのクリップの調整を定義するために使用され、選択したすべてのクリップの音量がそのクリップに固有の量で調整されます。
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