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オフライン編集とオンライン編集の違い

映像制作

オンライン、オフラインと言うとネットワークに繋がっているかどうかをイメージする方も多いと思いますが、映像編集ではそれとはちょっと別の話だったりします。

撮影済みの素材をネイティブで扱う編集ソフトウェアも増え、オフライン編集とオンライン編集を区別なく行うケースも増えてきました。

オフライン編集とは

オフライン編集とはいわゆる「仮編集」のことです。

オフライン編集とは、カメラで撮影されたオリジナルのフィルムストックもしくはビデオテープに影響を与えることなく、生の素材をコピーし編集する映画制作やテレビ番組制作でのポストプロダクションプロセスの一部です。

一度オフライン編集で仕上げられた編集は、オンライン編集ステージでオリジナルのメディアを使い組み上げます。

オフラインと云う用語は元々コンピューティングとテレコミュニケーションから発生し「装置が他の装置の直接の影響下に無い状態」を示します。

現代のオフラインビデオ編集は多くの場合、Adobe Premiere、Final Cut Pro、Avid MediaComposer、Ediusなどのノンリニア編集(NLE)で行われます。 テープからテープに編集する場合と比べ、デジタル編集の革命で恐ろしく速いスピードでオンライン編集に移動することができるようになりました。

一般的に、すべての素材は低解像度でデジタル化(デジタイズ)され、編集者と監督は最終的なカットを作成するための試行錯誤を自由に行うことができるようになります。

EN Wikipedia:「Offline editing」

ファイルベースになり、フィルムやテープで撮影されていた頃と比べてデジタイズの必要は無くなっていますが、コピーやデュプリケートは昔に比べて格段に増えています。

一台の中で完結(もしくはネットワークで共有)する環境であれば、オフラインとオンラインをそれほど区別する必要はありません。

別の編集者が別のアプリケーションで加工する場合や、別の場所に移動して他のシステムへ移行する場合などは「オンライン編集」(コンフォーム)を意識する必要があります。

オンライン編集とは

オンライン編集はビデオプロダクションの最終段階で行われるポストプロダクション編集プロセス、いわゆる「本編集」です。仮編集のデータを基に本編の加工やフォーマットなど行う仕上げ作業のことを指します。

通常、別システムで編集データをオリジナルの素材と再リンクをするにはAAFやXML、EDLなどの編集データを使用します。これらの編集データは素材のタイムコードを基にしてタイムラインで編集した情報です。

職域の違い

オフライン編集とオンライン編集の役割は大きく違います。

オフライン編集はカットのタイミングや長さなど、演出的な「映像をつなぐ作業」に注力します。

一方オンライン編集は映像の加工や修正、エフェクト追加など「映像の見た目の仕上げ」に大きな視点が置かれます。(VFXやCGなどが絡むショットは両方を意識する必要があります。)

いわゆるジェナラリスト的な感じで、演出から編集、加工まで一人で熟す人も増えていますが、一般的には「パン屋に寿司を作れ」と言っているようなもので、あまり美味いものではありません。(もちろん寿司職人より上手いパン屋もいますが…)

プロジェクトが大きくなればなるほど作業は分業制になります。編集データをスムーズに移行するには撮影前の段階から設計する必要があります。(ファイル名やロール名、オフライン用ファイルの作成など)

以下のデータ形式はオフラインからオンラインに編集データをやり取りする時に使うフォーマットです。

これらのデータには一般的に映像データは含まず、編集のデータだけが記録されます。

EDL【Edit Decision List】

最も簡単な編集データをやり取りするためのフォーマットです。AAFやXMLと異なりテキストデータで可視性があります。

元々はテープベースのリニア編集器の編集データを移行するために作られたフォーマットで、クリップはリール名(テープ名)タイムコードで管理されます。

通常テープの収録は1巻ごとに連続したタイムコードで記録され、テープ名とタイムコードさえあれば編集データを簡単に再現できました。(リニア編集機によりローカルなEDLが数多く存在します。通常NLEでのコンフォームではCMX3600やFile 32などが使われます。)

コンフォーム時にリール(テープ)名やタイムコードが混在していたり失うケースがあるとデータは正確に再現されません。

エフェクトにもいくつか制限があります。

カット点のディゾルブとワイプのデータは再現できますが、NLEで作成したエフェクトの情報などは付加されません。

クリップの可変速の情報も一定速であれば再現できますが、カーブなどを使った可変速は再現できません。

AAFやXMLに比べエフェクトの再現性は低い理由は元のデータにこれらの情報が含まれないためです。

合成などでマルチレイヤーで組まれた編集データは一度に1つのEDLで書き出すことはできません。トラックごとにマルチのEDLを書き出す必要があります。

XML【Extensible Markup Language】

主にFinal Cut Pro7やX、Premiere Proなどのデータを書き出す場合に使用します。

XML自体はWebで使われるHTMLのようなマークアップ言語です。テキストファイルのため開くことはできますが、EDLに比べ判読性は低くなります。

Final Cut Pro 7形式で書かれたXMLは拡張子が「.xml」、Final Cut Pro Xで書かれたXMLは拡張子が「.fcpxml」となります。(この2つのフォーマットに互換性はありません)

クリップはメタデータ(タイムコード)ファイルパス(ファイル名)で管理され、コンフォームをする側で対応していれば、エフェクトの再現も可能です。

一方Premiere ProのXMLはFinalCutPro7を元にしたフォーマットですが、いくつかの点で問題があります。

AAF【Advanced Authoring Format】

主にAvid Media Composerのデータを書き出す場合に使用します。

バイナリーデータで可視性はありませんが、多くのメタデータを内包することができ、一つのファイルにオーディオ、ビデオを含めることもできます(ビデオを含めるとファイルが大きくなりすぎるのため推奨されません)。

Media Composer内ではシーケンスデータとしてそのまま再読み込みすることもできます。

Final Cut ProのXMLと同じく、コンフォームをする側で対応していればエフェクトの再現も可能になります。

Avid Media Composerで書き出したAAFは、エクスポートされたメディアに対するデータとリンクの情報のみを選ぶことができるので、コンフォームにおいて便利に使うことができます。

編集システムとProToolsとのやり取りにもAAFを使用します。AVIDもAAFの使用を推奨しておりOMFを使ったデータの移行は古いやり方です。

オンライン編集の必要性

テープの時代と異なり、ファイルベースになるとムービーだけでなく静止画の連番や、様々なフレームレートや解像度、異なるラッパーやコーデックのデータが混在します。

収録されたファイルは、グレーディング前の素材をプレビューするためにLUTを当てたり、編集のために変換が必要なケースがあります。

これらのプロセスはマシンパワーを必要とする場合が多く、変換などに頭を悩ませる原因となり、「職域の違い」にあったように、編集作業に注力すべき部分が損なわれるケースがあります。

プロジェクトによってオフライン、オンラインの考え方はマチマチですが、オフラインメディアを作成し、快適な編集環境で編集した後に仕上げ工程にステップアップする方が効率が良い場合があります。

最終工程のクオリティを考える場合には参考にしてみてはいかがでしょうか。

Autodesk Flameでは、AVID AAF、Final Cut Pro XML、Final Cut Pro X fcpxmlに対応するほか、マルチプルなEDLにも対応し素早いコンフォームを行うことができます。

DaVinci Resolveでは、これらのフォーマットでデータの再現が可能なだけでなく「カット」ページを使った編集や「エディット」ページを使ったコンフォームなど、オフラインやオンラインを意識する事なく最終的なフォーマットの書き出しまで1つのソフトウェアで行うことができます。

AVID MediaComposerは2019バージョンでUIが新しくなり使いやすくなる他、ACESの対応やDNx非圧縮形式での編集が追加され、もはやオフラインだけでなくVFXワークフローに組み込む事ができます。

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