株式会社バスクにて4K内覧会、セミナーが開催されました。

8/28、29両日、株式会社 バスク(東京都 新宿区)にて4K内覧会とセミナーが開催されました。ドラマなどを多く手がけるバスクが新たに導入した4Kシステムとネットワークベースのサービスの展示です。4K映像制作ではXAVCが主流になるととらえ、4KとHDの比較でのデモンストレーションになります。今年のNABで発表された機器もメーカーのメインターゲットは30Pベース。60Pはまだまだといった感じです。そのような環境の中でバスクは4K 60P制作にチャレンジしています。
バスクでは4K映像制作環境としてSONY F55を4台とRED EPIC-Xを2台所持し、撮影からオフライン、カラーグレーディング、フィニッシング、MAまで一貫したワークフローを提供しています。さらに4Kを扱えるターンキーのAutodesk Flame Premium 2015やAdobe Premiere Pro CC(ビデオボードはNvidia Quadro K5000、プレイアウトにはBluefish 444を使用) での4K編集およびプレイアウトの環境を整えています。
4K編集室での4KとHDの比較映像
4K解像度x60Pでデータ量的にはHDの約8倍、さらに10bitとHDと比べ格段にデータ容量が大きくなります。
セミナーでは1時間のドラマを元に計算し、DNxHD 145で480GB、高圧縮率のXAVCでは同時間で2TBほど必要になり、中間ファイルではDPXなどの非圧縮ファイルを使用する場合、これらで3TB、さらにレンダリング等の作業用のキャッシュとして倍の6TBほど必要になると説明しています。映像データや音声データはローカルに保存し、そこからオフライン用のプロキシが作成されAVID Media Composerで編集し、オンラインにはAAFでデータが渡されオリジナルを元にコンフォームされます。
4K編集で重要になるのが「ピクチャーロック」。ピクチャーロックとは、監督やプロデューサーなど各方面のチェックの後、画に対してこれ以上変更を行わないことで、文字通り「画に鍵をかける」事です。オンラインで尺調整を行うと容量の問題や、マシン自体の動作も緩慢になり実用に耐えない状態に陥る場合もあります。HDの黎明期に近い状態です。問題になるのはオフライン編集用のプロキシデータの作成と完パケのマスターデータの作成時間およびレンダリング時間で、それ以外の部分をなるべくスムーズにしなければタイトなスケジュールには収まりません。今後マシンスペックやコーデックのパフォーマンスの向上で解決されますが、しばらくはこのような状態が続くと思われます。
4Kワークフローでは全てがファイルベースになります。ファイルベースになることで素材などはネットワークを経由して送ることが可能になります。バスクでは株式会社フォトロンの提供しているHARBOR(ハーバー)ネットワークを使い、COMPASSというサービスを提供しています。扱うデータは未発表の素材など非常にデリケートであり、スピードとセキュリティーがネックになります。HARBORでは専用のボックスを使用して拠点間を10Gbのダークファイバーで接続。送られたデータはセンターサーバーに保存し、転送されます。専用の送受信環境でしか接続できないうえ、サーバーへのアクセスは自動で記録し送受信の履歴が残るためセキュリティーの問題は解決されます。また、ファイルの整合性のチェックも行えます。
遠隔プレビューシステム COMPASS
さらに外出先や移動先からアクセス出来る遠隔プレビューシステムを構築しています。Avid Media Composerなどの編集機で編集済みのシーケンスのリファレンスムービーを投げると編集者の手を離れ、自動的にトランスコーダーでウォッチフォルダーを参照しオリジナルから変換されてCompassサーバーに登録されます。VPNで接続されるのでセキュリティー的には安全で、認証した端末でないとアクセスできません。ブラウザベースで動作するため、タブレットデバイスなどで参照可能。タイムラインにはコメントを入力でき、読み込んだ瞬間にすぐに再生が開始します。CGのチェックや音効用のムービーとして外部の編集スタジオや外出先から素材をダウンロードして利用する事もできるので、すでに幾つかの映画などで使用されています。
「4K編集室」には2台の65インチのモニターが置かれ、バスクが制作したドラマ仕立ての「4K知らない彼女」と題された4KとHDの比較映像を視聴できました。SONY F55とHDC-1500で並列収録した映像や、4Kからのダウンコンバートの映像で、色の問題、解像感、肌の鮮明度、肌修正による違い、拡大の比較、グリーンバックの抜け具合、モアレ、スローの滑らかさなどを見比べることができます。
ただ、マスターモニターでははっきりと違いが判るのに対し、民生モニターということもあり(視野角の問題もありますが…)最前列では細部のディテールは確認できましたが、3〜4メートルほど離れると65インチのモニターでさえ、その比較は難しく感じました。また、F55とHDC-1500の比較ではレンズとセンサーサイズの違いもあり同じ様な画角である場合でも、F55では深度が浅く逆にHDC-1500では全体にピントが合っているように見えるため、好みはあると思いますが、HDの方が全体的なディテールを感じるカットが数カ所ありました。
この辺は、4K映像制作の難しさを物語る部分かもしれません。
株式会社バスク
株式会社フォトロン
映像/制作のためのプラットフォーム – HARBOR
 
 

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