【コラム】現場での波形モニター

多くの場合、収録では波形モニターが必要になります。
 

 
Adobe CS5.5まではOnLocationという波形表示と取り込みを同時に行うソフトウェアがありました。(元はSerious Magic DV Rack)このソフトウェアは2012年4月23日に開発と販売を終了し、Adobe Preludeにその道を譲っています。Adobe Preludeはファイルベースのインジェストに特化しておりソフトウェア上で取り込みや波形表示はできません。
 
On Locationの弱点はFirewireによるDV、HDVの取り込みしかサポートしない点でした。現在ではThunderboltで接続されたBlackmagic UltraStudioやAJA IoXTなどで簡単にSDI接続でラップトップでキャプチャーができます。Blackmagic Media ExpressやAJA VTR Xchangeでは取り込みは出来ますが、波形を表示する事ができません。同時に行うためには編集ソフトウェアを立ち上げなければなりません。
 
一方、単体の波形表示できる製品ではBlackmagic UltraScopeがあります。現在PCI Express版とUSB3.0を使用したPocket UltraScopeが販売されています。
 

 
ドスパラでクリエイター向けパソコンとしてBlackmagic UltraScope 動作確認済みパソコンを販売していました。 (現在は限定数完売です。)
 
ビデオ波形モニター用|クリエイターパソコン(PC)|BTO・自作パソコン通販のドスパラ
 
Pocket UltraScopeのMAC版のドライバーはいまだ提供されていません。また、UltraScope単体ではキャプチャーする事はできません。
 

なぜ波形モニターが必要か?

アナログの時代は信号の劣化やNTSCカラーに入っているかを監視する事が大きな役割でした。デジタルの時代ではその役割が変化しています。デジタルで伝送する場合、目に見えないデータの欠損やエラー等の監視などが重要になってきます。
 
本来の意味での信号管理では、エラー検出やログ機能等も装備されているテクトロニクスやリーダー電子の波形モニターを使用するのが適切です。テクトロニクスではバッテリー駆動可能なタブレット型のマルチフォーマット波形モニターも登場しています。
 

 
マルチスタンダード/マルチフォーマット・ポータブル波形モニタWFM2200型 (PDF)

簡易的なモニタリングとキャプチャー

正確な信号管理の他に、現場では今までと同じような照明や撮影時のレベル調整のための波形モニターが必要になってきます。divergent mediaのScopeBox3を使用する事で簡易的にモニタリングとキャプチャーを同時に行うことができます。
 

 
ScopeBox3はMac専用のアプリケーションですが、Blackmagic、AJA、Matroxなどのキャプチャリングデバイスや一般的なFirewireカメラ、Facetimeビルトインカメラなどをアサインできます。(CamTwistからもできるようです。)また、取り込んだムービーや元からあるムービーを読み込む事もできます。(取り込み形式はキャプチャーデバイスに依存します。)
 

 
プレビュー、ウェーブフォーム、ベクトルスコープに加え、RGB、YUVパレード、Luma、RGBヒストグラム等多彩な表示形式が選択できます。
 

 
AJA Kona3を接続した場合は入力フォーマットがずらっと…。
 
例えばグリーンバック等で本線はカメラ側でレコーディングし、SDIのスルーアウトをもらい仮当て用にPCでレコーディングをしたい場合等に使用します。SDIで接続しているので、収録メディアの出し入れの必要はありません。今回の現場ではUltraStudio Expressを使いScopeBox3で収録、現場でCGを作り背景に当てています。(UltraStudio Expressは60iまで収録可能。60pの場合は UltraStudio 3Dがないと収録できません。)
 

 
divergent media ScopeBox3
 
マシンのスペックと選択した圧縮コーデックによっては駒落ちが発生する場合があるので、正確にPC側で収録したい場合は、QTAKE HD等を使った方が良いかもしれません。
 
 
 

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