Grass Valley Codec Option 動作検証

Grass Valley Ediusが6.5にアップデートされ、 QuickTimeに対応したGrass Valley Codec Optionが無償で提供されています。Windows版ではEdiusがインストールされていないPCでもGrass Valley HQ/HQX 形式のビデオファイル(AVI、QT)を作成し、再生することができます。EdiusがインストールされているシステムではCanopus コーデック形式のキャプチャおよび、AVI ファイルの作成が行えなくなるためインストールすることができません。
 
同時にMac版のコーデックオプションも無償で提供されています。Mac OSX上でHQ/HQX 形式のファイルを Quick Time コーデックのファイルとして入出力することが可能になります。対応OSはMac OS X 10.7.3以降です。
 
ダウンロード Grass Valley Codec Option(無償版)
 
動作検証は以下の設定で行いました。
 
OSX 10.7.4
Final Cut Pro X 10.0.5
Final Cut Pro 7.0.3
Adobe CS6 Production Premium
BootCamp Windows 7 Pro
注:WindowsにEdiusはインストールしていません。
 
動作環境により以下の検証と違う結果が出る場合があります。ご了承ください。
 

Macにインストールする。

ダウンロードしたパッケージをダブルクリックしパッケージをインストールします。動作条件などはReadmeを参照してください。
 
Readmeに アンインストールについて書かれていますが実際にインストールされる箇所は
/ライブラリ/QuickTime/ です。
 

本製品をアンインストールするには、下記のファイルを削除してください。
~/ユーザー/ライブラリ/QuickTime/
・GrassValleyHQXCodec.component
・GrassValleyHQCodec.component 

 
Quicktimeのコンポーネントとして動作し、QTX、QT7 PlayerでHQ/HQXコーデックの AVI、QT両方の再生が可能になります。FCPXとAdobe CS6ではAVI、QTともに読み込みができます。(FCP7ではQTの読み込みのみ可能でした。)また、Cinema 4Dでも読み込みが可能で、テクスチャーとして使用することができます。
 
Mac版には下記のような制限事項があります。
 

・1920×1080 29.97p/25pのクリップを QT HQ/HQXで出力時
 UpperFiledで出力される。(Progressiveではない)
・Adobe After Effects, Premiere Proでは設定値でのみ出力。
 HQX 最高画質、HQ 高画質。 (設定を変更できない)
・FCPXでQuickTime HQ/HQXを出力する場合はCompressorを使用する。

 

Final Cut Pro XでHQ/HQXを出力する

Final Cut Pro XでHQ/HQXを出力する場合はCompressorを使用します。
共有>「Compressorへ送信」 で送信可能です。
 

 
設定をドラッグアンドドロップし、Compressorのインスペクタ>エンコーダー>ビデオの設定からCanopus HQXもしくはHQを選択します。
 

 
圧縮プログラムの設定でクオリティーを操作できます。with Alphaはアルファー有りで、選択した場合自動的に約1670万色以上に変更されます。
 

 
検証用にCBと非圧縮素材を含む25秒程度のクリップを作成しました。 (1920×1080)
 
非圧縮 10bit 4:2:2 3.87GB ビットレート 1326 Mbps
 
ProRes 4444   795MB ビットレート 264 Mbps
ProRes 422HQ  626MB ビットレート 207 Mbps
ProRes 422    376MB ビットレート 124 Mbps
ProRes LT    245MB ビットレート 79.8 Mbps
ProRes Proxy  126MB ビットレート 39.8 Mbps
 
Canopus HQX オンライン 最高 459MB ビットレート 152 Mbps
Canopus HQX オンライン 高 167MB ビットレート 54.4 Mbps
Canopus HQX オンライン 標準 136MB ビットレート 44.2 Mbps
Canopus HQX オフライン 70.8MB ビットレート 22.2 Mbps
 
ビットレート的に「オンライン 最高」で ProRes 422 HQからProRes 422くらいに相当します。QとMAXで品質をコントロールすることができます。 HQX オフラインは 「オンライン 標準」の半分程度ですが、細かい文字が判別できないほどブロックノイズが顕著に現れます。(完全にオフライン用です。)
 

HQX オフライン クリップ
 
作成したファイルを再び読み込み比較します。
 

FCPX ; 非圧縮
 

FCPX ; ProRes 422 HQ
 

FCPX(Compressor) : Canopus HQX
 
特にFCPX上ではガンマシフトなどは発生していません。 ProRes 422 HQの場合スーパーホワイトも維持されますが、Canopus HQXの場合100%でクリップされます。
 

FCPX:ProRes HQ(左)とFCPX:非圧縮(右)
 

作成したHQXは100パーセントでクリップされる。
 
同じクリップをFCP7に持ち込んでみるとシーケンスでガンマシフトが発生しているのが解ります。
 

上がオリジナル、下がFCPX(Compressor)で出力したHQX(ガンマシフトしている)
 
Qicktime7 ProでもHQXムービーの作成は可能ですが、wih Alpha (1670万色以上)にした場合クリップが壊れます。no Alpha (1670万色) で作成する必要があります。
 

 

Adobe PremiereでHQ/HQXを出力する (Mac)

Adobe Premiereに同様に素材を持ち込んだ場合、また挙動が変わりFCPX(Compressor)で出力したCanopus HQXのクロマがシフトしているのが解ります。Greenを見ると解りやすくHQXの場合クロマが持ち上がり緑が明るく見えます。
 

左:FCPX(Compressor)で出力したHQX 右:オリジナル
 

左:FCPX(Compressor)で出力したHQX(ルミナンスは100%でカットされ、緑が明るくなっている)右:オリジナル
 
それはさておき、Adobe PremiereからCanopus HQXを出力してみます。
ファイル>書き出し>メディア(⌘+E)から書き出し設定を表示します。
 

 
ポップアップした設定メニューから形式:QuickTime、ビデオコーデックをCanopus HQXもしくはCanopus HQを選択します。(コーデック設定はグレーアウトしています。)
 
同様に再度Premiereに持ち込み比較してみると(100%クリップはされていますが)シフトしていないことが解ります。(FCPXに持ち込むと逆方向にシフトします。)アプリケーションが対応していないための不具合かもしれません。また、PremiereでHQX/HQのシーケンスを作成するとフリーズしました。
 
作成したファイルは
 
Canopus HQX 499MB ビットレート 164 Mbps
 
となり、ほぼ最高画質になるようです。 After Effect、Media Encorderでも同様で、これらでの変換はマルチコアに最適化されているためCompressorより高速に動作します。
 
現状、Autodesk Smoke、Davinci Resolve、Blackmagic Media Expressなどではソフトウエアが対応していないため読み込みはできません。
 

Windowsにインストールする。

新しく提供されたGrass Valley Codec OptionはWindows 7 (32/64bit)で使用できます。Windows Vista/XP では動作しません。再生できるビデオコーデック形式はHQX HQのほか Canopus Lossless Codec、 Canopus DV Codecが追加されます。Edius6.0のユーザーの場合は、無償コーデックで上書きするとEdius上で書き出しが出来なくなるなどの不具合があるため、インストールする事が出来ません。
 

Adobe PremiereでHQ/HQXを出力する (Win)

WindowsのCodec OptionではQuickTimeに加えAVIでも出力できるようになります。
ファイル>書き出し>メディア(Ctrl+M)から書き出し設定を表示します。
 

書き出し設定(AVI)
 
コーデック設定でコーデックの詳細を選択することができます。

AVIのコーデック設定
 

Quicktimeのコーデック設定
 
書き出したQuicktimeおよびAVIのファイルをオリジナルのソースと比較してみます。
 

オリジナル
 

Adobe Premiere CS6 で出力したAVI HQX(ほぼ同じです)
 

Adobe Premiere CS6 で出力したQT HQX(ガンマがシフトしています)
 
QTではガンマシフトが発生しています。
グリーンバックの素材を見ればよくわかります。
 

オリジナル
 

Adobe Premiere CS6 で出力したAVI ルミナンスが100%でカットされています。
 

Adobe Premiere CS6 で出力したQT ルミナンスが100%でカットされかつ全体が下がっている。
 

WindowsのファイルをMacで比較

1台のMacをBootcampで切り替えて使う場合はMac Drive9の使用が便利です。動作検証下では高速なRaidをDAS接続しHFS+フォーマットで使用しておりWindows7から直接読み込み、書き込みを行うことができます。
 
FCPXでオリジナルとWindowsのAdobe Premiereで書き出したAVIとQTを比較してみます。
 

WinとMacの比較(FCPX):オリジナル
 

WinとMacの比較(FCPX):Premiere CS6(win)で出力したAVI(ほぼ同じです。)
 

WinとMacの比較(FCPX):Premiere CS6(win)で出力したQT(クロマがシフトしています。)
 
MacのAdobe PremiereでWindowsで書き出したAVIとQTを比較してみます。
 

WinとMacの比較(Premiere):オリジナル
 

WinとMacの比較(Premiere):Premiere CS6(win)で出力したAVI(クロマがシフトしています)
 

WinとMacの比較(Premiere):Premiere CS6(win)で出力したQT(ガンマがシフトしています。)
 
今回、Ediusは所持していないため、直接書き出したAVIおよびQTの検証はしていません。
 

結論

コーデックの問題なのか、QuickTimeの書き出しの問題なのか、アプリケーションの対応の問題なのか、はたまた自分の作業環境の問題なのか、原因ははっきりしませんがGrass Valley HQ/HQXコーデックのQuicktimeでの書き出しは多少の不安感があります。
 
MacでAVIが読めることで、EdiusユーザーがWindows、Macでデータをやり取りする場合は便利です。
しかし、ProResをメインに運用しているユーザーにはあまりメリットがあるとは感じられません。中間コーデックはインプットとアウトプットを上手く考えた上で選択する必要があります。中間コーデックはオリジナルからの変換やアウトプットでの変換が必要です。下手をすると画質と時間のロスにつながるため、トータルでのワークフローの構築が重要です。
 
 
 
 

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