Autodesk FlameとSmokeの違い(1)

簡単にAutodesk FlameとSmokeの違いを解説します。
以前はFlameが特殊効果、Smokeが編集に特化したマシンという区分がありました。現在ではFlameでもSmokeと同様に横軸の編集が行え、Smokeでもタイムラインからアクセスできるノードベースエフェクトのコンポジットツール「CFX(Connect FX)」が使用できます。
ユーザーインターフェースも似ており、エフェクトモジュールの使い方やタイムライン、カーブエディタなどの使い方もほぼ同じ。Smokeに触れたことがある方ならFlameへの移行も容易で、Flameアーティストは同じようにSmokeを使うことができます。「Flame」の大幅な機能限定バージョンが「Smoke」と認識していただければと思います。

具体的な違いは何?

幾つかの機能や効果がSmokeでは使用できません。
まず第一にデスクトップリール。Smokeはフリーフォームと呼ばれるデスクトップでクリップを整理します。Flameではフリーフォームに加え、デスクトップリールが存在します。
フリーフォームは広さに限りがあります。広いモニターで操作をする場合は物理的な広さもあるので問題ありませんが、狭いモニターではサムネイルも小さくなり、大量の素材を扱う場合には煩雑になりがちです。
Flameのデスクトップリールは端と端がくっ付いた筒状のリールのような状態になっています。ここに素材を並べ整理をします。リールはフリーフォーム表示に変更することもできますし、デスクトップと呼ばれる場所ににリールをいくつも作ることができます。
置かれた素材は折りたたんだり(コラップス)、拡げたり(エキスパンド)することができます。拡げた場合は1枚のフレームが常に1枚として表示されます。(タイムラインでサムネイルが表示される編集ソフトウェアは数多くありますが、常に1フレームを1枚として表示するソフトウェアは余りありません。)


拡げた状態で切る、貼るといったジェスチャーエディティングが可能です。フィルムを編集したことがある方なら判ると思いますが、それに近い状態です。
現在ではタイムラインがマルチレイヤーであったり、マルチチャンネルのオーディオで作業することも多いので余り使用する頻度は高くありませんが、感覚的に好きな機能の一つです。
次にバッチ(Batch)機能です。FlameでもSmokeのCFXと同じくタイムラインから使用出来る、ノードベースのエフェクトコンポジットモジュールのBFX(Batch FX)がありますが、下部のタブから利用できるBatch機能が単独で備わっています。
Flameの基本的な作業の流れは「エフェクト部分をBatchで作り、レンダリングしてタイムラインに戻す」という工程になります。以前は手動でクリップに名前を付け、リールで管理する必要がありましたが、現在ではBatchリールが作成され、Batchで使用するクリップはそこで一元管理することができます。BatchリールとデータをFlareに送れば、別シートでエフェクト部分を再現し円滑に作業を再開することができます。
 
Flame独自の機能の紹介はまた別の機会に。
 

製品ラインナップ

SmokeのLinux版(Smoke Advanced)はFlameに置き換わり、現在SmokeはMacOSX版の期間限定ライセンスのみ存在します。Autodeskサブスクリプションサービスでは月額、年額のプランが用意され、オンラインもしくは販売代理店から購入できます。(2016/04/01 現在日本のAutodesk StoreではSmokeが表示されません。)
Autodesk公式ストア

Flame Premium

Flame Premiumは多くのポストプロダクションで導入されています。
オートデスク クリエイティブ フィニッシング アーチスト名鑑 2016
これは基本的にFlameを中心としたツールセット群で、合成編集のFlame、グレーディングを行うLustre、ノードベースのコンポジティングの部分を切り出したFlare、タイムラインベースの編集が行えるFlame Assistがセットになっています。Autodesk FlareはこのBatch機能だけを抜き出したソフトウェアで、Flame AssistはSmokeとよく似たタイムラインベースの編集ソフトウェアです。
以前はFlameおよびFlame Premiumはターンキーシステムとして販売されていましたが、ライセンスと販売形態の変化でハードウェアの選択が自由に行えるようになり、FlameとLustre、Flare、Flame Assistは単独でソフトウェア契約することが可能になっています。(認定動作環境のハードウェアを使用した場合に最高のパフォーマンスを得ることができます)

教育リソース

現在エディターのセルフトレーニングのためのAutodesk Flameトレーニングエディションがリリースされています。
Autodesk Flame Training Editions
学生・教員向けのソフトウェア無償提供プログラムとして、Smokeの無償ライセンスが提供されています。(3年間)
学生・教員向けソフトウェア無償提供プログラム
また、教育機関限定製品としてオートデスク株式会社が定める対象機関に該当する教育機関に対してはFlame Famiryのライセンスが無償で提供されます。(ネットワークライセンスのみ)
 
 

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