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LTOによるコールドアーカイブの必要性

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撮影したデータをLTOに保存する意味があるのかと聞かれることがあります。物理的問題でHDDは衝撃に弱く、テープは安全ということはよく言われますが、保存状態やメディアを移動する手段によっては同様に危険を伴います。今回は物理的な問題ではなく中身の問題です。

メディアのバックアップ

撮影されたメディアはオリジナルから完全に同一であることを確認した上(ハッシュチェック後)、編集処理される前に確実にLTOにバックアップする必要があります。テープメディアと違いファイルベースのシステムではデータメディアに撮影時のデータなど、目に見えないメタデータが多く含まれる事になります。変換やほんの少しの操作で失われる可能性があり、多くの場合は大元を辿らなければ完全に復元することは出来ません。

HDDの場合、電源を入れればすぐにアクセスできる状態です。ZipやTarで圧縮してあればそれらのファイルに直接アクセスすることはできませんが、大抵の場合はそのままムービーや静止画の状態で保存されています。LTOにバックアップした物はメディアを直接操作する事が出来ず、HDDなどに書き戻さなければ直接触ることが出来ません。(Mac OSXの最新機能では便利な自動保存機能があります。一長一短で、通常の使用では保存を意識せず便利ですが、大事なデータを意図せず変更してしまう可能性があります。)

メタデータ

MXFファイルはQuicktimeなどと同様、各種コーデックによって圧縮された映像と音声を含むラッパーです。これらラッパーには映像や音声に加え、メタデータと呼ばれる各種の情報を内包している場合があります。(タイムコードもいわゆるメタデータです。)埋め込まれたメタデータはなんらかのアプリケーションを使用しなければ見ることはできません。(メーカー固有のメタデータ形式の場合が多く、純正のアプリケーションや互換性のあるアプリケーションを使用しなければ読み出すことはできません。)

メタデータに直接アクセスできる場合はファイル自体のメタデータを書き換える場合もあります。(撮影時に追加情報を加えることができるということは、いつでも改変可能ということです!)また、トランスコードでその情報は失われます。ファイル構造も重要で、ルートからのファイル構造を維持しなければならないメディアも存在します。

LTOにバックアップする

LTO5からLTFSというファイルシステムでLTOにバックアップを作成することが可能になりました。それ以前はtarやdd、cpioなどUnixのコマンドラインから使用するか、アーカイブソフトウェア固有のフォーマットでバックアップする必要がありました。LTFSでOSの垣根が取り除かれ、どのOSからもアクセスできるようになります。

現在、LTO5、LTO6が現役でLTO6の場合1巻あたり最大2.5TB(圧縮時6.25TB)の容量があります。LTOドライブは1世代前は読み書き可能、2世代前は読み込みのみ可能になっています。(すなわち、LTO6ではLTO5の読み書きが可能で、LTO4は読み込みのみが可能です)

Thunderboltで接続する

転送速度の向上でLTOドライブはSASで接続されます。(ドライブ自体にSASのインターフェースが採用されています。)mlogic社 mTape ThunderboltはそのままThunderboltで接続可能ですが、HPやIBMなどの汎用のシングルドライブをThunderbolt拡張ボックスにSAS ホストアダプタを搭載し使用することもできます。

mLogic — mTape Thunderbolt

SonnetのThunderbolt拡張ボックスにATTO SAS ホストアダプタExpressSAS H680を搭載し、Dell PowerVault LTO6 ハーフハイトを接続してみました。Thunderboltだけでなく、LinuxなどSAS接続で使用する場合にはマルチで対応できるインターフェースを利用し有効活用できます。

ThunderboltインターフェースとSASの一体型になっているATTO ThunderLinkを使用すると、SASケーブルとドライブ、ThunderLinkとMacをThunderboltケーブルで接続するだけで使用することができるようになります。

ThunderLink | Thunderbolt to SAS/SATA Desklink Device | ATTO

USB 3.0で接続する

株式会社UNITEXではUSB 3.0接続可能なアーカイブシステムやWindowsでTarコマンドが使用可能になるTarBackupのようなソフトウェアも販売しています。

LTO磁気テープ製品一覧|UNITEX

LTFSを使用する

IBMやHPでは各OSで使用できるLTFSのドライバーを無償で公開しています。(OEMなどの場合は対応するドライブのドライバーを使用します。)

IBM Linear Tape File System Single Drive Edition 概要 – Japan
HP StoreOpen (LTFS) かんたん設定、使い方ガイド | 日本HP

これらのソフトウェアをダウンロードし、インストールするとLTFSをファインダーやエクスプローラでフォーマット、書き込み、読み込みができるようになります。

今回は上記構成でmlogic社 mTape Utility を使用してみました。mTape UtilityはmTape Thunderbolt用ですが、IBMのドライバーを含み自動でインストールします。同様のユーティリティとして、Archiware MediaLTFSが存在します。(共にMac用)これらは単にフォーマット、マウント、アンマウントの機能のみで多機能ではありませんが、ファインダーからドラッグアンドドロップすることでメディアに書き込むことができるようになります。

mLogic | mTape
MediaLTFS

mTape UtilityはIMAGINE Products社開発のソフトウェアです。チェックサムやマルチバックアップ、サーチ機能や選択したファイルのリトリーブ(書き戻し)などはPreRollPostを使用した方が便利です。

Imagine Products, Inc., workflow solutions from acquisition to archives

LTFSの注意点

Tarなどで書かれたLTOはLTFSと互換性はありません。以前に使用したことのあるテープはフォーマットが正しいか確認した上で使用することが望ましいです。また、Tarの場合は書込時に設定したブロックサイズを指定しないと読み込みができない場合があります。また、LTFS自体新しいフォーマットなので、バージョンなどの互換性をチェックする必要が有ります。

ライブラリ機能が重要!

単純にシングルドライブで単一のバックアップを書き出す場合はそれほど問題はありませんが、素材量が多く大量のバックアップを抱えると、どこに何が入っているかはラベルだけでは判断しづらくなります。LTOはテープメディアであるためシークに時間がかかります。フォルダー構造が深い場合や、一つのフォルダーに多くの素材が入っている場合インデックスの作成に時間がかかります。そのため、ローカルにオフラインで参照できるライブラリ機能を持っていると非常に便利です。簡単なところでは、DiskCatalogMakerを使いLTO内に何が入っているかを確認したり、残容量がどれくらいあるかを把握できるだけでもかなり使い勝手は向上します。

Mac App Store – DiskCatalogMaker

大規模なバックアップを作成する場合は、すぐに使用できるアーカイブアプライアンスが便利です。特にCache-AはTARフォーマット、LTFSフォーマットを選択でき、データベースによるライブラリ情報をローカルに保存するだけでなく、NFS、SMB、AFP、FTPなどのネットワークプロトコルを使用しファイルを転送することができます。

Cache-A – ASK DCC 株式会社アスク

操作はWebブラウザから行えるので、わかりやすく煩雑な操作は必要ありません。さらに大規模なアーカイブは複数のLTOドライブを搭載したライブラリシステムがあり、テープをバーコードで管理するケースもあります。

また、アセットマネージメントを使用するのも有効的です。CatDVではメディア本体がオフラインの場合でもカタログ上での検索や情報の閲覧が可能です。DiskCatalogMakerではタイトルしか表示されず、中身がどんなファイルかまでは認識できません。CatDVはプロキシムービー作成機能でプレビューできるだけでなく、Cache-AオプションでCache-Aをダイレクトにコントロールし、アセットをLTOテープにアーカイブすることもできます。

CatDV – ASK DCC 株式会社アスク

いずれにしろ、誰がいつバックアップを取るかが課題になってきます。1BeyondではDITやデータラングラー向けの可搬型のLTOバックアップシステムがありますが、 現実問題として、データマネージャーが現場でHDDやSSDにバックアップを取ることが精一杯かもしれません。

1 Beyond | Streaming Video Broadcast Systems | LTO Archive Solutions | On-Set Data Wranglers

LTOへの現場でのバックアップが難しい場合は、ポストプロダクションに持ち込みLTO化するというのも一つの方法です。

バーチャルテープライブラリ

仮想テープライブラリのことです。前記のように LTOはテープメディアであるためシークに時間がかかります。クライアントにテープであるように認識させ、内情はディスクで運用するライブラリシステムです。バックアップにはディスクを指定するため、クラウド上に保存するといった使い方もできます。ネットワークの速度に依存するため、映像などのメディアにはまだ現実性は低いかもしれませんが、注目の技術です。

アーカイブと解凍

表題にはコールドアーカイブとありますが、冷蔵庫、冷凍庫をイメージするのがわかりやすいのかと思います。アーカイブを展開するソフトウェアに解凍という言葉を使ったり、電子レンジのようなアイコンがあるのも頷けるかもしれません。さらに、使わない可能性が極めて高いが捨てられないデータに対しフローズンアーカイブという言葉が使われる場合もあります。

JDSF | データ・マネジメント・ソリューション部会 | データ・ストレージに関する総合情報サイト | Japan Data Storage Forum



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1 Comment

  1. 石河 慎一 (@ishicaw)

    【ブログ】 LTOによるコールドアーカイブの必要性 http://t.co/8NXfyJoQ3c

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