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Autodesk Smoke 2013 ラウンチセミナー レポート3

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Khaki 水野 正毅 事例: JPRS「黒猫の不思議な旅」

この作品はWeb広告のムービーですが、Smoke2013で編集、合成を行っています。 YouTubeでも本編再生前の広告ムービーとして流れていました。本編は4分程度あり、約100カットをほぼ全編合成しています。
 

 
http://黒猫の不思議な旅.jp
 
水野:「このムービーは、JPRSという.JPを管理している会社のWebムービーです。便利さスピードを黒猫が運ぶという事に見立てファンタジックなものにしてほしいという要望でした。 スモークはすでに導入していたので、事務所で2Dワーク的な事だったらできますよという話で提案していました。ですが、監督から上がってきたのがどうやっても2Dだと不可能なものだったんです。フル合成で4分で全部フルCGでやる事は無理だとは分かっていました。」
 
水野:「3DCGの経験は一切無いんですが、スモークだとできるかもしれないと思い、初めてSmokeをハブにしてCG屋さんに発注をするという形を取ったんです。3社に背景CGを御協力頂いて、後は僕が自宅でスモークを使い全部合成しました。それがたしかプレリリースの2か3だったと思うんですけど…地獄を見ましたね(笑)。」
 
水野:「ベッドとテーブル以外はほとんどブルーバックです。基本的に床もブルーバックで、カット数が100カットあったんですよね。全部管理して発注するのは無理だと思ったんですけど、Smokeのファイル管理がとてもすばらしく、常に最新の状態を保ちつつ視覚化してわかるパイプラインとして非常に優秀なツールだったんです。」
 
JPRS「黒猫の不思議な旅」事例
 
水野:「今回はなるべく立体的に動きを付けて説得力のある背景を作りたいという事で、カメラマップという手法を使っています。横原君という優秀なデザイナーの方が静止画でマットペイントを作成し、それをFBXで立体物として読み込んでいます。なのでパース感があるんですよね。カメラデータはBoujouで取ってもらった3DトラックをFBXで読み込んでいます。本当はデプスも吐き出す事ができるので全部Smoke内でやりたかったんですが、全てのカットをオンラインでやると厳しいので、基本的にはCGサイドでレンダリングしたものをコンポジットしています。」
 
水野:「 格内君と同じく元のブルーバック素材はALEXAで撮影し、データはProResで貰っています。グレーディング行程にも入らず、Smokeでカラーコレクションしています。それほど複雑な合成はしていないと思いますが、髪の毛のキーを取るためにヒストグラムを使用したり、猫を別レイヤーにしたり、ろうそくがぼけているので別レイヤーにしています。」
 
水野:「スモークは窓口が広いというか、番組的な仕事から映画のような複雑なフィニッシングの合成まで対応できるのが良い所です。例えばRGBのグレイン一つでも、Shift+R、Shift+G、Shift+Bというショートカットで各チャンネルが見れるんです。(Flameのショートカット)映画の場合は普通にやっている事だと思うんですが、そういった細かい合成処理もソフト内で全部できるんですよね。InfernoやFlameのハイエンドの合成ツールから受け継いだ部分があるので、そういう事が可能なんです。」
 
水野:「今まで単独でFlameでやっていたような事をグループ単位でできるというのも強みだと思います。この作品は一人でやったんですが、別の案件で格内君に事務所に来て手伝ってもらったり、同じ部屋で二人で出来るのには、ちょっと感動しましたね。」
 
さっきも話があったコラボレーションのツールとしてもありですね。
 
水野:「 本当はそっちに未来があるんじゃないかって気がしてるんですけどね。」
 
水野:「 カメラマップだと3Dでレンダリングするよりも効率的でクオリティーも高くコントロールできるので、 同じシチュエーションのときには有効なんです。 Photoshopデータの一枚画を貰っているので静止画に処理を重ねてどんどん反映されていく事も可能なので、今回みたいな手法は凄く良いと思うんです。ただカット数が多かったので、全部はできなかったんですが…。」
 
この手法ってコンポジターから提案しないと結構難しいですよね。
 
水野:「 レンダリングもこちら側の時間がかかるので、この手法でやりたいと言ったときに驚かれるんですが、CGでレンダリングして監督にチェックするスピードに対して、実際に隣に監督がいてちょっと弄りたいと言ったときにSmokeだとすぐに対応できるんですよね。Smoke2013はFlameやInferno等、常に立ち会いの中揉まれてきたソフトウェアなんで、そういうスピーディーさは非常に高いと思います。」
 
見ながら調整できるというのが良いですよね。
 
水野:「 そうですね。デモを見て感じたと思うんですが他のソフトウェアだと、ヌルっとした調整ってできないと思うんですよね。Smokeだと見ながら『この辺かな』というのがわかるというか、そこが素晴らしくて。ある程度使えるようになってくると、ある日脳とSmokeが直結するような感覚になるんですよ。そうなってくると凄く楽しくなってきて、あれもやろう、これもやろうっていうのがすぐにパパッと浮かんできて。他のソフトウェアも素晴らしい部分が一杯あるんですが…凄く使いこなしている人は別だと思うんですけど、なんか映像を捏ねてる感じなんですよね。」
 
操作が感覚的なんですよね。
 
水野:「 タイポグラフィーも意外に強くて、どんどん事例から遠ざかってっていくんですが…。」
 
水野:「 例えば、1枚画の読み込みがものすごく速くて、一枚画だとなんとなく再生できるんですよ。PlayLockっていう便利な機能があって、動画を静止画扱いにしてくれるんで、20レイヤーくらいぱぱぱぱぱってやって『いいじゃん!』みたいなことができるんですよね。他のソフトじゃ体験できないと思うんです。」
 
水野:「そういう隠れた機能とか、こんな使い方もできるっていうのが色々な所に散らばっていて、今までは各ポスプロに秘伝の技じゃないですけど、そこでしか知恵は溜まっていなかったんです。 それをなるべく皆で共有化してソフトウェアを高めていければと思います。 逆に僕らポスプロサイドの知らない情報とかCGサイドとかいっぱい知っていて、そういう意味でも3社にお願いして色々な情報を得られたのは非常に大きかったですよね。」
 
人とのつながりですよね。
 
水野:「 今回担当してくれた横原君の仕事でも、実際にやり取りしながら勉強する事がたくさんありました。ポスプロはポスプロで必要な部分がありますが、その辺のうまい棲み分けをできればと思います。」
 
コンポジターのやる事が増えましたよね。
 
水野:「 増えましたね…。進行の管理とか…。あと、チェックのQuickTimeを出すときとか楽ですよね。フォルダーを丸ごと投げる事ができるので。」
 

 

小規模プロダクションでの運用

ファイルベース化が進行しています。
 
従来のポストプロダクションでは、最終的に、信号管理された映像をテープにアウトプットする流れが基本で、高価なテープデバイスやデータ変換のためのサーバーが必要でした。Smokeをプロダクション内に置き、作品を仕上げることで必要な時だけデータを持ち運び、ポストでテープにアウトプットすれば良いことになります。
 
入力フォーマットでは4Kや2K、ステレオスコピック、RedやArri、Raw、Logなどが混在しています。一方、出力では現在の放送フォーマットに限らず、Webやデジタルサイネージ、DCPなど多くのアウトプットに対応する必要があります。
 
Smokeで高品質なマスターを作成することで、最終的なアウトプットの品質を維持することができます。
 

コンフォーム機能

撮影済みのデータが多くなるとオフラインが必要になります。
 
カットレベルの編集ではディレクターに権限がある場合が多く、使いやすいツールを選択する場合が多いと思います。SmokeではAVID、FinalCutProやFCPX、PremiereなどXML、EDLを読み込み、再現することが出来ます。
 
いわゆるコンフォームと呼ばれる機能です。
 
もちろん、Smokeではじめから編集する事もできますが、これらのワークフローは簡素化する必要があり、プロジェクトの中心に置くことで、その流れをを円滑にすることが出来ます。
 
編集とフィニッシングは、極端に言うと別工程です。フィニッシングは作品をブラッシュアップして行く作業になり、編集とは別の幾つかのテクニックを必要とします。
 

ポストに留まらない提案

2つの事例で共通して言えることは、高度な合成やエフェクト処理を行う場合、演出や撮影の設計段階から関与している必要があるということです。
 
クオリティーの高い映像処理をフィニッシングする場合、最終的な形をイメージしなければなりません。単なる後処理としてではなく、制作時点で何ができるのかをはっきりとさせる事が必要です。
 
合成とCGとが切り離せない関係になっています。特に3DオブジェクトをFBXやAlembicで直接持ち込める事はSmokeの大きな特徴です。
 
プロダクションの中心にSmokeをハブとして置く事で技術的なアプローチを行う事ができ、ポストに留まらない提案をする事ができます。
 

まとめ

低価格になりユーザーインターフェースの変更で使いやすく、新しく生まれ変わったスモーク2013ですが、新規のユーザーにはまだ敷居が高いかもしれません。
 
まずこの新しいソフトウェアを使ってもらたいのは、ポストプロダクションで実際に編集、合成を行っている、エディターやコンポジターの方々です。
 
事例を紹介した二人のように、Smokeのパワーを肌で感じられるとおもいます。
 
また、放送局や制作プロダクションにインアウトとして、様々なフォーマットに対応するスモークを置く事は利点があるとおもいます。
 
最後に、教育機関での導入です。
企業では即戦力が鍵になり、ポストプロダクションと同等の機能を持つソフトウェアを習得する事は、大変メリットになると思います。
 
Smokeがソフトウェア単体での販売になりユーザー自身が解決しなければならない問題も出てくると思いますが、技術的なつながりで情報を共有できるようになれば、もっと使いやすいソフトウェアになっていくのではないでしょうか?
 
レポート1はこちら
レポート2はこちら
 

 

 

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