映像制作とインターネット

iPhone5がもうすぐ発売です。
 
LTEとテザリングが話題になっていますが、少し様子をみようかと思います。回線スピードが上がれば転送量は増大します。
 
auの場合、月単位の7GBの制限の他に、エクストラオプションを支払った場合でも直近3日間に1GB以上の利用があった時は通信速度を終日制限するようです。うむむ…。
 

増大するデータ量

ThunderboltデバイスやRatinaの登場で、高速なコンピューティングによって動画もパーソナルな環境で制作できるようになりました。ファイルベースになり、そのほとんどはデータで保存されています。
 
ProResで作業する場合でもあっという間に数十GB、数百GBに膨れ上がります。個人向けのプロバイダーを利用しているクリエイターはそのデータをインターネットで転送する事が出来ません。
 
低価格な個人向けのプロバイダーでは一日のデータ転送量が概ね30GBで制限されています。(プロバイダーによって異なりますが全く制限されていない所は数少ないです。)制限以上に達すると転送速度制限や退会処分になる場合もあります。
 
そうした場合、良く使われる手段はHDDの運搬です。これには時間的リスクと人件費及び破損などのリスクが常につきまといます。
 

なぜ制限が生まれたか

昔は転送量制限はありませんでした。WinnyやShareの様なP2Pソフトウェアを利用した著作権違反コンテンツの取引やウィルスによる被害、情報流出などによる社会的背景があったためで、プロバイダーは一律に個人向けサービスに制限を課しました。
 
P2P自体は優れた技術です。サーバーを必要とせず、少ない転送帯域を有効に使い分散処理的にファイルを送信する事が出来ます。
 
回線のスピードに目が行きがちですが、転送スピードが上がれば必然的に転送量が増大します。問題は転送スピード以上に転送量制限にあります。
 

どう回避するか

一つはIP固定型のビジネスプランのアクセスタイプを選択する事です。個人向けのプロバイダーに比べ高額ですが専用線に比べ低価格で利用出来ます。ただし、回線品質はベストエフォート型が多く一時的に低速になる可能性があります。
 
OCN 光アクセスIP1 ビジネスタイプ (78750円/月〜回線利用料金別途)
 
Usen光ビジネス USEN BROAD-GATE 02(22000円/月程度〜)
 
au光ビジネス300Mbps(8000円/月程度〜)
 

拠点間通信を利用する

もう一つの解決策に拠点間通信があります。回線とプロバイダーは分離されています。決まった相手と通信する場合はプロバイダーを使用せずに通信する事が可能です。
 
これには専用線が必要です。大きな企業の場合、拠点間通信にVPN(Virtual Private Network)を使用しています。これはプライベートネットワークと同じ様な感覚で接続する事が出来ます。専用線の敷設は距離に応じて高額になりますが、すでに電力事業者や鉄道事業者が敷設している光回線を利用するダークファイバー等を借りて拠点間通信をする場合があります。
 
拠点間の通信しかできないので、小規模なプロダクションや個人ユーザーではコストが大幅に増大し現実的な問題として難しい面が多いと思われます。
 

広域イーサ ネクスト

まだ実験段階ですが公衆回線を用いた高速な専用通信網が開発されています。NTTのBフレッツ、フレッツ光ネクストに限定されますが、最大100Mbpsでの広域イーサネット網が構築出来ます。
 
接続には古いPCを利用しCD-ROMブートしゲートウェイとして使用し、最大で256拠点間通信が可能になります。イーサネットで接続するローカル接続と変わらない感覚で操作する事ができるようになります。
 
広域イーサ ネクスト – NTT 東西の B フレッツ / フレッツ 光ネクスト回線上で広域イーサネットを実現するソフトウェア
 
例えばよく使うプロダクション間で結んだり、撮影スタジオとポストプロダクション間で専用の回線を結ぶ事でシームレスな作業環境が生まれます。送り手、受け手双方のバランスが取れていないと、そこがボトルネックになります。
 
この問題は非常に重要です。例えば、データが遠隔地に送る事が出来ればプロダクションが首都圏に集中する必要がなくなりますし、また真剣に考えなければ、このままではプロダクションはポータブルHDDの山に埋もれる事になります。
 
ポストプロダクションはサーバー化しハブになり、情報の交差点になる必要がある様に感じます。
 
広域イーサ ネクストはインターセプターの田巻さんに教えていただきました。少し離れた事務所同士で快適に接続しているそうです。
 
 
 

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