【コラム】映像とコンピューターとアクセシビリティ

MacOSがバージョンアップしMountain Lionになりました。その中で興味深いのが音声入力です。初期ではセンテンスしか理解できない様ですがこれは画期的です。声の特徴も覚え使えば使うほど賢くなります。
 
メモ帳やテキストエディタなど文字を入力できるところならどこでもFnボタンを2回押すだけで音声入力を開始することができます。
 

何が画期的か?

今までも音声入力のソフトウェアはいくつかありました。しかし、使い勝手と認識結果があまりよくありませんでした。
 
正しく認識するには大量のデータが必要です。発音の学習方法ににディクテーションという方法があります。話した言葉を正しく理解するのに何度も聞くことを繰り返します。
 
認識結果は今までローカルのディスクに保存されていました。Mountain Lionの音声認識結果はユーザーデータと共にAppleに送信されます。世界中の人のデータが一度に大量にAppleに集まります。これはクラウドの力です。
 
Appleは長年にわたり積極的にアクセシビリティを上げる技術を投入してきました。ボイスオーバー、テキスト読み上げ、点字サポート、拡大表示、そしてSiriです。
 
コンピューティングにとって必要なのは身体的能力ではなく「脳力」です。四肢が動かなくともインプットさえ出来れば健常者と同じ作業が可能です。
 
アクセシビリティーは普段使う場合にも便利になります。例えば画面の拡大はプレゼンテーションの時に便利ですし、テキスト読み上げ中に別作業を行ったり、そしてSiriは新しい場所に私たちを導いてくれます。
 
映像の場合も同様です。テレビのテロップは音を消しても番組の内容がわかりますし、時間表示は朝の時計の代わりになります。
 

3Dの場合は?

日本人の約半数は目に何らかの異常を持っています(街のメガネ屋や眼科の数を見ればよくわかります)。遠視、近視、乱視だけでなく視野狭窄、色覚異常、飛蚊症、黄斑変性、緑内障、白内障、老眼など様々です。
 
目の能力は加齢と共に失い、先天的に異常があっても認識しない限りわかりません。
 
3Dの映像の場合、強制的に立体視を作ります。身体的影響の問題をよく言われますが、それ以前にうまく映像が見えていない可能性もあります。これでは幾ら製品や作品を作っても見てもらえません。(最初は目新しさがありましたが、疲労度は蓄積されていると思います。)
 

2Dの場合は?

2Dはある程度見えていれば映像を認識可能です。4Kの製品が出てきましたが、これが与える影響も考える必要があるかもしれません。
 
色弱模擬フィルタ(眼鏡)という物もあります。例えば放送で色弱の人がどう見えるかをチェックすることができます。かけてみると解りますが、注意が必要なテロップが全く見えなくなる場合があります。これらの体の異状は体感してみなければ解りません。
 
伊藤光学工業 バリアントール
 
AutodeskのSmokeやFlameで編集を行う場合、操作はペン1本です。ショートカットでキーボードは使いますが、文字の入力もオンスクリーンです。すると、マウスやキーボードがはたして正しいインプットデバイスか疑問に思うことがあります。
 
さらに健常者であってもデバイスが体に合っていないとフラストレーションと疲労が溜まります。これは長時間作業する場合深刻な問題です。
 
使い易くなる事で生活が豊かになります。さらに、アクセシビリティを上げる事でコンピューティングがどんどん「ヒト」に近づいていく気がします。
 
 
 
 

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