CINEMA EOS SYSTEM WORKSHOPに行ってみた。

台風の中でしたが雨にぬれながら キャノン主催のセミナー CINEMA EOS SYSTEM WORKSHOP EOS C300で描く次世代の映像 に行ってきました。ちょうどC300素材の案件の途中なのでレンダリングをかけつつ…
 
イベントの詳細はこちらに…
 
キヤノン:イベント|CINEMA EOS SYSTEM WORKSHOP
 

まずは簡単な EOS C300の概要から

 
Super 35mm相当の CMOS
Full HD 23.98P 29.97P 59.94i
EFマウント
Mpeg2 long GOP MXFによる CFカード収録
8bit 4:2:2サンプリング
HD-SDI出力
高感度、低ノイズ
Canon log ガンマ搭載
 
セッションの内容は日清カップヌードルCM「REAL」シリーズの制作ワークフローで実際にC300がどう使われたかを紹介していくものでした。
 
日清カップヌードルCM「REAL」サイト
 
司会はyamaqさんがセッションを進行していきます。
 

まず、なぜC300を選択したか。(PM 森田氏)

企画意図からAKBメンバーを等身大として描く。アイドルとしてのAKBとしてではなくAKBをがんばっている普通の女の子たちを描く視点から、いわゆるドキュメンタリーに近い視点で撮影する企画だった。
 
カメラ3人、監督2人という体制で、WEB制作も絡み制作部主導でカメラの選択を行った。1回の撮影に3 – 4時間かかり機動力を重視した。ビデオコンテ制作時は7Dを使用し7Dも候補に挙がっていた。 だが、7Dだと音声収録に難がある。 重視した点はインタビュー収録に耐えられるか。 予算は全体でCM 1本分でコンパクトに行う必要性があった。
 

次にプロデューサーの松永氏

Logでのシューティングに関して重要なポイントを述べています。
 
ビューアシスト機能について
Logを扱うことでは適正に露出されているかが重要。18%グレイを基準にするが、目視では暗く見えるのでオーバー目に撮影してしまう。それが後に悪影響を及ぼす場合があり、ビューアシスト機能は必要。
 
ベース感度は850。すべてに12ストップが再現される訳ではない。850以上は12ストップが維持されるが下回るとクリッピングされてしまう。フィルムを扱うカメラマンだと感度を低くすることで(粒状性の問題で)ノイズが低減されると思いがちだが、必ずしもC300でそれが当てはまる訳ではない。バスのシーンはノーライトで行った。言われなければ気がつかないほど。
 

オフラインの視点から(ED 菊池氏)

オフラインからグレーディング、オンラインにかけて、タイトなスケジュールの中で行った。とにかく素材が多かった。かつオンラインまで時間がない。素材的には一人につき3-4hでトータル12時間分程度の素材があった。
 
ワークフローについて
オフラインはMXFをProResHQに変換しFCPで行っている。オフライン後のグレーディングはMXFネイティブ(Mpeg2)でColorを使用し、DPXに吐き出しオンラインではFlame Infernoで作業を行った。CMのため最終的にはHDCAM SRにフォーマットしている。4日間という短いタイムスパンで作業を行った。
 
なぜColor?
別テイクでも社内で対応でき、FCPともシームレスにどんな状況でも対応できる。
 

ここで、C300 Logの対応状況

Apple Final Cut 7 X
Avid Media Composer NewsCutter
Adobe Premiere 5.5以上
GVG Edius 6 Broadcast
Blackmagic DaVinci Resolve 8.2
 
MXFからQTにリラッピング
MXFやQuickTimeはラッパーなので、いわば包み紙を変えるだけでファイルとして認識できるようになる。コーデックの変換は必要なくファイルコピー程度の速度で作業することができる。
 
音の同期について
ピンマイクかガンマイクでの同時収録だが画と音がずれることはない。
 

グレーディングの点から。(カラリスト 水上氏)

タイプ数、タイプ違いが数多くあった。合計15タイプくらい。グレーディングは1日というオーダー(業界的に1日は8時間ではない…)があり、グレーディングは13時間。それからレンダリング作業。カラーについては初めてだという。ナイトシーンがノーライトだと言うことを終わってから知った。
 
yamaqさんの「グレーディングをやっているとマスクを使用して顔と背景を別々にマスクしたくなるが …」というつっこみに対し、このバスのシーンではマスキングは使用していないと。
 
グレーディングで弄ったのはプライマリーのコレクションのみ。セカンダリーは使用していない。気になる濁りを修正したくらい。
 
気になる濁りとは?
フェースのシャドウ部に蛍光灯の影響でグリーンが若干乗っていること。
 
Logでは白にグラデーションが残ることが大きなポイント。
フィルムとビデオの違いはハイライトの境目に現れる気がする。フィルムの場合はハイライトが徐々に階調がかわっていくがビデオの場合境目が極端に現れ、白に色が乗る。それがバンドになる。フィルムだとすっきり抜けていく感じ。また、暗部の階調、特に髪の毛などに階調が残る。
 

Log vs RAWと言われるが

両者良い所があるが、どちらも言えることがいかにダイナミックレンジをとるかということ。RAWはセンサーの生出力。ベイヤーパターンで記録され、再現するのにディベイヤーが必要となる。(いわゆる現像処理)センサーは明るさに対しリニアに反応し、(絞り値など2,4,8と対数的に増えていく)少ないbit数で記録することが出来る。
 
マッハバンドは8bitのせい?
CFカードにMXF MPEG2 50Mで記録しているため圧縮されている。極端にガンマを弄った場合12ストップのダイナミックレンジでもバンドが発生するが、外部収録(KiPro)でProResで同じようにガンマを変化させた場合にはバンドは発生しない。圧縮で出るのではないかという見解。ただしMPEG圧縮が一概に悪いという訳ではなく、コンパクトにCFに収録できることファイルサイズを小さくできることなどの利点があることも示された。
 
グレーディングやクロマキー撮影で使用する場合、外部収録も候補に挙げられる。外部収録は24Pで収録できないというネックがあったが、KiProのバージョンアップでC300の出力をプルダウンして収録するモードが搭載されたのでこれを利用することで外部での24P収録が可能になる。
 
収録でのモニタリング環境
Canonが出しているLUTファイルはCSVフォーマットで一般のモニターや編集機などでは互換性がない。作成したLUTを用いることでビューアシストとほぼ同じ状態で書き出すことが出来る。このLUTはレンダリングに使用でき、棒テレシネなどを行うことが出来る。
 
松永氏が他のソフトウェアで読み込めるようにカスタマイズしたLUTを公開しており、white-screen.jpよりダウンロードすることができます。
 
Canonのセミナー「CINEMA EOS SYSTEM WORKSHOP」に先駆け! 山本久之と松永勉が2012年以降のワークフローをプチ予想 | white-screen.jp
 
素のままとってしまうと照明部では判断しづらい。logの眠たい画のままクライアントが見て納得するかどうか?特に商品パッッケージなどでは重要ではないか?NANAO CG232Wでは3D LUTを直接当てて見ることが出来る。
 
感度について
感度が高くなることでSNが悪くなりノイズが出てくるが、12800で撮影した素材は15年前くらいの500T(タングステン)のフィルムくらいのノイズ。もう12800って数が何の単位だか分からないくらい。
 

質疑応答

フリーランス (VE)
RAWでは設定を弄らないで撮ることが多いが、LOG収録の場合現場でVEとしてカメラ側で弄った方がいいのかという質問。
 
輝度が高い部分では色が早めに飽和するので、ディテールが出てこない場合がある。特に肌の質感が出ない。強い光が入ると分かっている場合などはカメラが側で調整した方がいい。
 
VEが弄らないことはない。特に露出が大事で適正に露光しているかの判断が大事。ダイナミックレンジの中に入っているかだけではない。
 
VEの形が変わってきてオンセットなどでデイリーが出来るようになると特に日本ではVEの重要性があがるのではと思われる。
 
撮影
LOGでなく現場で色を決めて撮影してしまえばいいのでは?
 
LOG収録以外にもビデオやシネマライクトーンのようなモードがあり、それぞれのメリットがある。
現場であわせた方がベストだが、馴染みを良くしたりプロジェクトの開始時と全く違う方向へ行った場合の対処として使用できる。特にハイライトとシャドーはセンシティブ。
 
 
といったところで時間が終了です。Canonさんのロゴ入りサーモマグとカタログ一式を頂きましたが豪雨のため全身ビショビショ…ですがコーティングされた紙袋がカタログを守ってくれました!
 
もうすぐ発売になるC500では4K出力とデュアルスロットが装備されます。1つのプロダクトがワークフローを大きく動かし、かつ、そのスピードは年々速くなっている気がします。
 
 
 
 

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